140 戦車の洗車 3

さむいさむい。
まるで雪国にいるようだ。
ガタガタと震えて倒れていたが、さすがにここに寝転がっていると眠くなってくる。眠ってしまったら死んでしまうと誰かが言ってた。俺は寒くて眠くなるのは人がまだ冬眠とか出来てた時期の記憶が遺伝子に組み込まれているだけだと思うんだが、もしかしたらこのまま寝てしまうと春まで起きなくなるのじゃないか、なんて思っていた。
ドトォールから誰かが出てきてこちらに駆け寄ってくる。
よく見ればマコトだった。
ドロイドバスターに変身後の。
どうやらドロイドバスターに変身するためにわざわざドトォールのトイレを借りたっぽい。しかも店の中を通る際には一旦は光学迷彩を纏っていたのか。
「いくよ!キミカちゃん!はぁぁぁぁぁぁ…」
マコトは胸の手と手をあわせ、拝むようにする。すると周囲に熱気が現れる、というより、今まで冷たい風が当たってたのがどんどん暖かくなってくる。
「おぉ!凄いじゃん!」
むくりと起き上がる俺。
温かい。春のような温かさだ。
気持よすぎて寝てしまいそうだ。
「そのままそのまま、温めててー!これなら水が冷たくないや。あ、水も温めてよ、指が冷たいんだよねー」
「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」
おお!
水も温かい!温水だ!
どんどん暖かくなるぞ!
いや…熱い!水も熱い!あっツゥ!
って、なんだよサウナかよ、クッソあちぃ…。
「あっつ…」
夏だ。
もう夏になってる。
「ふぅ…これぐらい温めればいいかな」
マコトは手をうちわにしながらパタパタと首元を仰ぎながら言う。それから自らもドロイドバスターの戦闘服を脱いでいる。
「熱いし、水が撒かれちゃうからここは1つ、水着にでもなりましょうかねー!」そう言って俺はキミカ部屋から水着を取り出した。
「水着!いいね!」
マコトも顔がにやけてる。
濡れたブラウスを脱いで濡れたブラを脱いで、白いチチを露出させる俺。その上に水着を装着。という光景がマコトやたまたまドトォールに入っていく客らの目に入る。みんな何が起きてるのかと驚いている顔だ。そりゃそうだ。目の前の空間が何故か真夏、で、すこし離れればそこは1月の雪がちらつく曇り空。
水着の上にさっき脱ぎかけたブラウスを着て、おしゃれにもその裾の部分を腰の辺りでキュッと縛る。パンツも脱いで水着を装着。そしてスカートを脱ぎ散らかした。
「マコトの水着はないけど、あたしの水着があるよ?」
「うん!ボクも水着になるよ!」
俺の水着はブラのカップがマコトのよりも大きいからなぁ、これを無理に装着したら…うわぁ、案の定、水着の中には寂しいおっぱいが…でも、それがまた素晴らしい。俺は「フヒヒ…」という下品なオヤジの笑みを浮かべながら、マコトが極小おっぱいを水着のと肌の隙間にチラつかせるのを見ていた。
ちなみに、水着の下のほうは紐タイプなので残念ながらマコトのパイパンなアレはチラつかせることはなかった。
それから…。
1月の寒空の中、その空間だけはパラダイスになっていた。
美少女2名が水着姿で戦車を洗車するというパラダイス。
俺が戦車の上から水を撒き散らすと、綺麗な虹が出来た。そこにマコトが水をかける。俺の髪が、身体が、ビショビショになる。
「やーん!やったなぁ!」
今度はマコトに水を掛ける。
「うわぁー!」
マコトが喜んでいる。
マコトの後ろにいた通行人にもかかる。
男は苦笑い。女は今にもキレそうな顔になる。
温かい水はその温度差の為か、マコトのエントロピーコントロールが働いてるフィールドの外に少しでも出ると、あっという間に水蒸気となって白い湯気を立てる。だからまさにパラダイス…桃源郷だった。
白い湯気を超えた先に美少女が水着で遊んでいるという、桃源郷…。
通行人のババアがキレてドトォールの店員に向かって、
「非常識にも1月の寒空の下で水着になって戦車を洗ってる人がいるのよ!早く警察に通報してちょうだい!」と怒鳴っている。
ったく、うるせーババアだな、これでも喰らえ。
俺はグラビティコントロールでホースの1つを思いっきり引っこ抜いて、寒空の下でキレて身体から湯気をだしているババアに「頭を冷やせよ」と言わんばかりに、水をぶっかけた。
「ひぃぃぃぃぁぁぁぁぁぁああああぁっ!!!」
凄まじいババアの悲鳴が響く。
見れば隣にいるドトォールの店員にも水が掛かってしまった。ごめんなさい、俺の命中精度が悪かったね。
次こそは、確実に…当てる!!
俺は大量の水が噴き出している蛇口の先っちょを、うまい具合にグラビティコントロールで細く、細く、絞っていく。すると水の圧力は増大。ビームのように飛び出る冷たい水はババアを直撃してゴロゴロと場外(ガソリンスタンドの外)まで転がしていった。
「いいぇぇーい!」「いぇーい!」
マコトと俺がハイタッチ。
それからマコトはドトールの店員に手招き。その男性店員は怯えながらも、マコトと俺がいる戦車の下へとやってくる。
そこでマコトが指を出して男性店員の服をつん、と突く。すると男性店員の服があっというまにカラッカラに乾く。凄まじいエントロピーコントロールだ。
「いいぇぇーい!」「いぇーい!」
マコトと俺が再びハイタッチ。
マコトは店員に言う。
「店員さん、スムージー・ヨーグルンください」
「あ、はい…」
「キミカちゃんは何にする?」
「マンゴー」
「んじゃ、マンゴーとグァバね!」
「は、はい、1200円になります」
「あははー、ボク、財布持ってないやー」
ったく、しょうがないなぁ、マコトは。
「てぃ!」
と俺はキミカ部屋から財布を取り出して、そこから1200円ほどグラビティコントロールで取り出してから宙を浮かせながら、店員の掌の中へと落とす。
怪訝な顔で店員は鐘を受け取ると店に入っていった。
そんな二人の様子を見て下にいるタチコマ(多脚戦車型ドロイド)は言う。
「二人共ォ…遊ぶのはいいけど、ボクの事も忘れないでね…」
「わかってるよわかってるー」マコトがパンパンとタチコマの背中を叩く。見ればマコトのちっさなおっぱいがタチコマの装甲の間でふにぃといい形になってるじゃないか。ふひぇ…。
「そうだよ!そう!遊びが大切なんじゃないか!」
と俺もタチコマの背中をペシッと叩く。
それからグラビティコントロールでホースを持ってくると、タチコマの上から水をばらまいた。おらー!シャワーだおらー!!
そんな温水シャワーの中でマコトが俺に抱きつき、ゆっくりとタチコマの装甲の上(背中へ)押し倒していく。そしてちゅっとキス。
「キミカちゃぁ…ん」
そのままマコトは俺の水着のおっぱいの谷間へと顔を突っ込む。
その時。
「えっと…ご注文の品が…」
二人がじゃれあう様子をドトォールの店員が見ていた。マンゴーとグァバのヨーグルンを持って。