132 孤高のヒーロー 7

このMなんとかという男。
ドロイドバスターでしかもスカーレットの手先だとゥ?
だったら俺の敵以外の何者でもないじゃないか!!
「がるるるるるるるるるるるるるるるるる…」
俺は威嚇のために唸り声をあげた。
スカーレットはビルの上からジャンプして、地面に着地。俺のような華麗な着地ではなく、地面にバリアを発動させてクッションにさせるように着地するので、周囲の道路に酷い割れ目ができた。なんという汚らしい着地だ。
「覚悟しなさい。ドロイドバスター・キミカ。今日、この北九州・小倉駅前があなたの墓場になるのよ。以後、ここにあなたの墓を作って酔っぱらいに小便をひっかけてもらうようにするわ」
ドヤ顔でそう言うスカーレット。
「がるるるるるるるるるるるるるるるるる…」
唸り声をあげる俺。
「手は出さないほうがいいわよ、前なんとか。その小娘はチビでも凶暴よ」
しかし前なんとかは俺に向けて手を出す。ニッコリと微笑みながら。
「おいで。怖くない。怖くない…」
そう言った。
「がるるるるるるるるるるるるるるるるる…ガブッ」
俺は力いっぱいに前なんとかの手を噛む。
「ほら、怖くない。ね?」
笑顔に力を込めなければならないほどに痛いようにも見えるが、前なんとかはその笑顔を崩さずにスカーレットに向かって言う。
「ほら、怖くない…怖くない…こ、こわ、いてて、いてて!痛い痛い!」
隙を見て奴は俺の噛み付き状態から回避する。
「ワンッ!」
「気をつけなさいって言ったでしょう?手当たり次第に噛み付くんだから!後で狂犬病の予防接種をしてほうがいいわね!」
そう言うが早く、俺と前なんとかの間に身体を割りこませて、その体勢でタックルをキメてくるスカーレット。タックルのエネルギーを横へ逸らしてまともに食らうのを避けたが、それでも俺のバリアを全部持っていかれた。まともに食らっていれば即死してた。
「ほら!さっさと挟み撃ちにするわよ!」
「待ってくださいスカーレットさん!!」
するとその前なんとか、挟み撃ちにするどころか、自分が俺とスカーレットの間に入って挟み撃ちにされるような状況にしたのだ。馬鹿かコイツ?
「アンタどういうつもり?」
「僕はキミカさんを攻撃するつもりはありません!」
え?何いってんのコイツ?
「資本主義を理解してないようね…?。金はちゃんと払ってるんだから、それ相応の働きはしてもらわないと困るわ!」
「僕はキミカさん以外のドロイドバスターが現れたのなら応戦すると、最初に言ったはずです!」
「え?あれ冗談じゃないの?」
「冗談なんかじゃない!僕のキミカさんに対する思いは本物ですよ!それと、さっきから前なんとか前なんとかうるさいですよ!もう5年の付き合いになるんだから名前を覚えてくださいよ!スカーレットさん!あ、キミカさん、5年の付き合いというのは別に男と女の付き合いという意味ではありませんから!政治家と政治家の付き合いですから!」
本職バラしてるし…。
「いや、別に…そこはあんまり気にしてないから…」
「キミカさん!」
「は、はい」
「『気にしてない』というのは『僕とスカーレットさんが付き合ってたとしても、そんなの気にしてないぐらいにあなたの事が、』」
「ないないないない」
「え?」
「いや、そこ、本気で驚かないでよ!あたしは前なんとかさんに全然興味が無いから別にスカーレットのおばさんと毎晩セックスするような仲であっても気にしてないよって意味だよ!」
「そ、そんな…」
「ま、そういうことで」
「待ってください!僕とキミカさんは今出会ったばかりです。これからまだチャンスがあるはずなんですよね?いつかは僕とキミカさんが結ばれて、そしてキミカさんの温かいソレが僕の熱いソレを包み込む瞬間も、」
「そんなのないよ!ないないない!」
なんて事を戦闘中に言ってくるんだよコイツは!
「しかし、女性のソレは好きな男性を前にすると中のほうが膨らみ、そして暖かく包み込むと言われているのです…暖かく包み込むと、湿り気をより強くして、男性のソレを昇天させるように、柔らかかく柔らかく、」
「はゎゎゎゎゎゎゎ…」
童貞の俺には想像もできない事柄だったが、凄まじいエロいイメージが俺の中に飛び込んでくるようだ。なんだそれは、女性の温かいソレが男性のアレをソレでああしてこうして、ぁゎゎゎゎ…。
「キ、キミカさん、まさか今ので…興奮を、」
「ま、まさかぁ…」
と俺は軽く前なんとかの肩を叩く。
するとビクンッと身体を逸らさせる前なんとか。
よく見ると前なんとかの前がなんか凄い事になってる。コイツ自分で俺に説明しておきながらフルボッキしてるじゃないか、とんでもない奴だ!!
「前なんとかさん、前が…」
「キミカさん!」
ガシッと俺の両肩を掴んでくる前なんとか。
「僕はキミカさんの事を諦めません、いつかキミカさんが僕の熱いアレを自らの熱く湿ったアレの中に深くうずめて、そして先にキスするかのように子宮口がツンツンと熱いその先に、」
「はゎゎゎゎゎ…」
「子宮口ですよ、子宮口!」
「し、しきゅうこぅ…」
「そうです!子宮口です!そこで精を放ってしまえば、確実に妊娠してしまうという、子宮口ですよ!」
「なんという、人間の身体の神秘…」
「そして精を放った後は女性のソレは男性のソレを、」
「ど、ど、どうなるの?」
「まるで吸い込むかのように下から上へとマッサージするのです…」
「う、うわぁ…」
まるで吸い込むかのように、下から上へとマッサージを…、そんな機能が膣にあるのか!!なんて凄いんだ…神はとんでもなくエロい。こんなエロい身体を創りだしたというのか…。
「き、キミカさん。鼻血が出てますよ」
「あ、あいがと」
前なんとかが差し出すハンカチで俺は鼻血を拭いた。
あれ?
そういえば俺は何をしてたんだっけ?
「スカーレットは?」
「ん?そういえばスカーレットさんの姿がありませんね」
ぽつんとガラクタのような街の真ん中に取り残される俺と前なんとか。
まぁどうでもいいか。それより、家に帰ってオナニーだ!!
「キミカさん」
「は、はい?」
池田屋で検索してみてください」
「は、はぁ…池田屋?」
「男性のアレを女性のアレが包み込む描写を、凄まじい断面図で紹介している専門のエロ同人誌のサイトです!!」
「ま、マジ…でぇ…」
また鼻血が出てきた。