131 スカーレット星人 3

くっそぉ…。
コーネリアもメイリンもマコトも何やってんだよ!
俺が攻撃受けてるのに点数稼ぎに必死なのかぁ?!
「オラオラオラオラオラオラオラ!!!」
心眼道の受け流しによる力点ずらしでスカーレットの攻撃エネルギーを横へずらしているものの、それでもバリアは削れていく。削れては回避してバリアのエネルギーが貯まるのを待ってまた回避…。例えるのならHPが8分の1ぐらいに減ってる状態でポーションで補給しながら敵の攻撃を回避している状況だ。
「キミカチャァァッーン!!」
この声は…マコト!
スカーレットの横から炎の塊が押し寄せてくる。そしてスカーレットと俺の間を塞ぐ。完全に塞ぐ。
ナイスタイミング。
「『炎獄殺』!!」
マコトの中二病臭い必殺技名がビルとビルの間に響く。と同時に、周囲に景色を歪めるほどの熱気が現れて、みるみる地面やビルの壁を熱で溶かしていく。溶岩ゾーンだ。
既にマコトの中二病臭い必殺技名が響いた時からスカーレットは逃げる体勢だった、が、その足を溶岩へと溶かし込むほどの勢いで液体化が進んでいく。スカーレットのブーツが熱で溶けてマヌケにも裸足になってアスファルトの上を走っていく。
「あは!あははははは!!ウケる!!」
指さして大笑いする俺。
「キミカちゃん!今トドメを刺せるよ!あぁ、そうかボクがトドメを指して100点ゲットだ!!」
言うが早くマコトは溶岩の上を自分が歩くところだけ固体化させてスカーレットを追いかけていく。
もちろん俺はマコトに100点とられまいと(とられたらマジでダッチワイフになってしまいそうだから)グラビティコントロールで空に飛び上がってスカーレットを追いかける。
「あ」
その時だった。
地面を走るマコトの横から高速でメイリンがタックルかましてきたのだ。もちろん、強化バリア付きのメイリンのタックルをまともに食らって耐えきれるはずはない。マコトはそのまま吹き飛ばされて商店街のブティックの中へと突っ込んだ。
メイリン!!裏切ったなぁ!!」
俺が叫ぶ。
「ふっふっふ…キミカ、お前、私の上の点数見えないか?」
「ん?」
なんだぁ?
メイリンの上には王冠がついていて75点と書いてあるのだ。決してそれは赤点ラインよりも取れたから補習授業を免れるとか平均点よりも獲得できたから他の人間はそれよりも上で偏差値が上がってるとかそんなレベルの話じゃない。
「コーネリアとマコトを攻撃する、点数があがる」
俺は目ん玉が飛び出るんじゃないかっていうぐらいに驚いた。
こぉンの野郎ゥ…仲間を攻撃して点数を稼いでやがったのか!!
「堕ちたかメイリンンンン!!!」
「フハハハハハ!!貴様、今まで食べたパンの耳の数、覚えてるのか!!ハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「パンの耳は残す派だァァァッ!!!」
グラビティブレードの攻撃は俺と異なる剣技を持つメイリンの回避によりうまくかわされていく。が、メイリンが矛をガードに使う際には確実にそれを削っていくのだ。フッ…武器の強さで勝っているな。
(カチリ)
「ん?」
メイリンが地面を見つめる。
「んん?」
俺も地面を見つめる。
嫌な予感がするぞォォォ!!!
メイリン…動かないでよ…」
「う、うむ…これは…」
コーネリアの地雷じゃねぇぇかよォォおぉぉぃぃいいい!!!
「HeHeHeHeHe…」
(パチッ、パチッ、パチッ)
乾いた拍手をしながらコーネリアが登場しやがる。
「始末したんじゃないのかよぉぉぉぉ!!!」
俺はメイリンに叫んだ。
「知るか!確かに殺ったはずだ!」
コーネリアはオーバーアクションで悲しそうな顔をして、
「オ前ガ倒シタト思ッテルノハ、コレノ事デスカァ?」
と俺とメイリンの前にメイド服姿のコーネリアを転がし、
え?
コーネリアの前に、コーネリアの死体?
コーネリアが二人?
どういうこと?
「忍法、代ワリ身ノ術デス…」
な、なんだとゥ?!
コーネリアの物質変換能力によってそこらにある別のものをコーネリアそっくりに変化させたというのかァァ!!
その証拠に、メイド服のコーネリアのぐったりと横たわる死体が薬局に飾ってあるゾウさんの人形へと変貌していく。
「ちっ、偽物だったか!」
「Ahh!!!HaHa!!!SAYONARAッ!MaTaAuHiMade!」
地面に埋まっていた爆弾が突然腕を伸ばしてきて俺とメイリンの足を掴んだ。
「ハァァァァァァァァ!!!」
「うわぁぁぁあぁぁぁ!!!」
地面がまばゆい光に包まれた。
その光は次の瞬間、熱源へと変貌した。