130 新しい朝が来た。希望の朝が 5

俺は言う。
「ふっふっふ…今日は2匹の狂犬を解き放ちに来たよ。スカーレット。あなたは今あたしに屈服するしか無いと本当は理解しているはずだよ?まだ抵抗する気なの?」
とドヤ顔で。
側で2匹の狂犬のうち1匹のソンヒは、
「ワンッ!」と吠え、もう1匹のメイリンは、
「ガルルルルルル…」と鼻の頭に皺を寄せた。
「クッ!卑怯者!4対1とか!なんとも思わないの?!」
「おぉ〜…怖い怖い(両腕を抱えてみせて怖がる素振り)」
「っていうかメイリン!アンタ!恩をアダで返す気?」
言うと思ったよ。
メイリンはそれに対して、
「その恩、金と等価交換された。恩欲しかったら、金よこせ」
うわぁ…現金な奴。
「わかったわ。わかった。メイリン、1万円あげるからキミカとマコトを殺しなさい!」
おいおい、俺の命は1万かよ!
いやマコトとあわせてだから1万以下じゃん!許せん!
「1万?!割に合わない!」
意外な回答だ。すぐに飛びつくと思ったのに。
「何を弱気になってるのよ!」
「キミカ強い。1万でこちら、死んだり大怪我負ったら割合わない。と言ってる!」
「わかったわよ!10万よ。10万でどう?さっきの10倍よ?」
「それ、怪我の治療費とトントン。ダメ。もっとよこせ!」
おいおいおいおいおいおい!!
もっとよこしたら俺を殺すのかよおいおい!
「わかったわ!100万よ!あんた学生でしょ?100万ってどんだけ大金なのか知ってるわよね?!中国に持って変えれば遊んで暮らせるのよ?ちゃんと自分の頭で考えなさい!」
「う〜ん…」
悩んでるぞ!悩んでるゥ!!!
「人の命を金でやり取りするな!!」
マコトが怒りの鉄拳をスカーレットに食らわそうとするが、ギリギリで交わす。どうやらマコトの炎の拳はスカーレットのバリアの前ではタイミングによっては無効化されるらしい。
「わかったよ。メイリン。スカーレットを殺したら1000万円あげる」
「マジか!」
「マジマジ」
そんな俺にスカーレットは
「え、ちょっ、アンタなに小学生みたいな事言ってるのよ?!どこに1000万とかいう金があるの?!」
「あるよ、あるある」
「何よその適当な答え方は!」
メイリンは矛を構えて戦闘態勢に入っている。
メイリンだけズルいニダ!ウリにも1000万よこせ!」
「わかったわかった。飼い犬には餌をあげないとね」
「ウェェェーーーハッハッハッハ!!大金持ちニダ!」
再び2匹の狂犬がスカーレットを睨む。
「わかったわ。わかった。二人とも。キミカとマコトを倒したら私が総力をあげて1億円あげるわ」
「ま、マジニカ?!」「本当か?!」
「いやだからゼロ増やせばいいわけじゃないし!」
すぐさま俺は反論するがドヤ顔でスカーレットが返してくる。
「しょうがないなぁ…マコトが5億であたしが5億。あわせて10億でどう?一生遊んで暮らせるよ?」
「おい!本当なのか!」
「ウェーハハハ!!笑いが止まらないニダ!」
二人は興奮して鼻息を荒くして俺に駆け寄ってくる。
「ほんとうほんとう。マジで大マジ。ただしスカーレットを倒せたらだよ?って、おいおいおいおいおいおい!!スカーレット逃がしてんじゃん!どうすんだよォォォ!!!」
クソガァァァッ!!!
今のやり取りをやってる間に逃げた!
今しがたずっとここにいたような気がしたのに!
こんな状況でマコトはジト目で俺やメイリン、ソンヒを睨む。
「っていうかキミカちゃんがそんなお金持ってるわけないじゃん…ちょっと考えればわかるだろうに…」
「クソッ!!嘘だったか!」
メイリンが唾を吐き捨てるように言った。
いや、実際に吐き捨てた。
「嘘つきは朝鮮人の始まりニダ!キミカも同胞ニダァ!!」
俺を指さしてそう罵るソンヒ。
「やめてそれだけはやめて」
クソォォ!!