129 21グラム 3

「知りたいっていのは、その、スカートの中を知りたいとかそういうアレとか、その、スカートの中とかを知らせてくれるとかなの?」
「意味がわからない」
「ごめんなさい…」
慌てて俺は自分の質問を撤回しようと誤魔化したが冗談は通じないようだった。至って真面目なのだ。
「キサラというあの教師、私と同じアカーシャクロニクル・ライブラリの能力が使えるようだけど、興味の矛先がアカーシャクロニクルそのものに向いていなくて幸運だったと言うべき」
「(ゴクリ…)」
「アカーシャクロニクル・ライブラリは様々な情報にアクセスすることができる。私は幾度か、『死ぬ間際の人間』の情報にアクセスしたことがある」
「ひぃぃぃぃ…!!」
「本当に知りたい?」
「い、嫌です」
キリカはクスッと笑ってから、
「なら教えない」
といたずらっ子っぽい声で言う。
興味が無いと言えば嘘になる。
だけれど、俺は興味があるからと全部の情報を知ろうとは思わない『性格』なのだ。それは映画を見てないのにストーリーを最初から最後まで語られたあげくに感想まで頼んでもないのに並べてくる友達が嫌いなのに似ている。
「死ぬことは、多分、キミカがプレイしているネットゲームの『ログオフ』と同じようなものだと思う。もちろんその1度のログオフでキャラクターは削除され、再度ログオンしたら1レベルからやり直しで種族も元のものとは違うかもしれないけど。泣いても笑ってもそこには世界が存在し続けていて、自分が居ない間も誰かが冒険を続けている。そしてその世界にはサービス終了はない」
「でもその世界の外側は…違うんでしょ?」
「そこにはそこの概念がある」
そろそろ夜だ。
お子様なら寝る時間になってた。
このままキリカの家に泊まって帰ろうかと思ったけど冗談でそれを言ったらまんざらでもないような顔をされたからやめておいた…。
マンションから出る俺。
そういえばここってセキュリティロックが頑丈にされてたな。キリカはそういう場所を選んで住んでたようだと見受けられるけども、それでも『教団』とかいう連中は追い詰めてくるんだろうか?
キリカの概念まで書き換えてしまう凄まじい能力を持ってしても、追いかけてくる教団って一体なんなんだ?…仮に教団の内部にドロイドバスターがいて、それがキリカと同じような能力を持っていたとしたらそれも可能か。確かに、概念を書き換えるとか下手すりゃ日本をまるっきり別のものに変えちゃったりもできるからなぁ。
それにしても、アカーシャクロニクル…だ。
俺がドロイドバスターじゃなかったらそんなキーワードは2chのオカ板でちらっと聞いてからただのネタとして夏の夜とかのホラーモノの本当にあった怖い話系列の扱いにしちゃうんだけど、もう他人ごとじゃないんだ。それは確実に存在しててドロイドバスターの力の発生源にもなっている。
時間と空間を創りだし、
エネルギーを無から産みだし、
エネルギーを物質へ変換し、
その物質にアカーシャクロニクルを連結させた。
それらを扱うことができる俺達は、ゲーム内で言うところのチーターってことか。いや、ゲームマスターってのかもしれない。
アバターからするとゲームマスターはゲーム内では神様みたいな扱いじゃん。そうか神か!そういえば俺のことを神様みたいなものだって言ってた人がいたような…いやいやいや、それはないだろう。神様の楽しみが今から家に帰ってHな本を見ながらオナニーするとか、そんなのが神様を崇拝する人達に知られたらきっとなぶり殺しにされる。神様だけど殺されちゃう。それか白い目で見られる。きっと悪魔だと言われてしまうだろう。
ん?悪魔?
悪魔か。
それはアリだな…。俺はどっちかっていうと悪魔の方面だな。
クックック…漆黒の闇よりいでし欲望の権化…。
ドロイドバスター・キミカ…その邪悪なる力で、
おおおおおっと!やばいやばい!!
キリカの中二病が感染した!
まだ、まだ大丈夫だ!
まだ完全には感染してないぞ!
頑張れ俺の免疫機能!
さて、悪魔ちゃんなボクは家に帰ってマコトの描いた俺の絵が無いか探してから、それをネタにして一人エッチしましょ。
今日はなんのピンクローターを使おうかな〜?♪