127 魂と英知のドロイドバスター 1

美術部もダメか。
もとより俺がNoを出したんだけど。
「美術部面白かったのに」
とかキリカが言ってる。
「ダメダメ!キリカがこれ以上美術部にいたらきっとあたしは失笑される高校生活を送ることになるよ!!」
「え〜…」
美術室を出てからしばらく歩いて行くと途中で『ドロイドバスター部』という看板が目に入る。俺は取り合えずその場を離れようと、「あ、UFOだ!」とか言って目を逸らさせようとするも、この写輪眼…いや、神羅眼の持ち主であるキリカはまっさきにその看板を見つけてしまった。
「ドロイドバスター部…」
「まぁまぁ、あれはオフザケで誰かがやったものでs」
と俺が言いかけたその時だった。
タイミングが悪いことに来やがったのだ。
キサラ(アレ)が。
「ちょっと!!久しぶりに部活に参加したと思ったら何が『オフザケで誰かがやったもの』?!どういう事なのよ!!」
「いやいや、参加はまだしてないよ?!」
「部室の半径1キロに近づいた時点で参加したことになるのよ!」
「半径一キロって広すぎだよ!!もう学校にきただけで参加したことになってんじゃんか!!あぁ、そういうことか…学校に来ただけで参加してるので今日はもう帰ろうかな、参加したし」
「おい」
結局俺達はドロイドバスター部の外側はチンケだけれど中が豪華な部室へと入ることになってしまう。
ナツコが言う。
「そういえばドロイドバスター部という怪しげな部があるという噂が学校の七不思議にあがっていましたわね…。まぁ、キリカさんがドロイドバスターじゃない限りは無縁な部、」
と言いかけたので、
「あら?キリカはドロイドバスターだよ?」
と俺が言う。
「え?」
「まぁ本人曰く、えっと…中二病臭いアレ…アレだよ、アレ…なんとかブレーカー」
「『ヘルズゲート・ヴォイドサム・ハートブレイカー』…アカーシャクロニクルの能力を操る深淵に潜む魔。今は人間界に転生している…。」とキリカはポーズをとって言う。
「そうそう、そんな感じの中二病患者」
キサラもナツコもきょとんとした顔だ。
「あれ?言ってなかったっけ?あぁ、ケイスケにしか言ってないか」
マコトもきょとんとしてる。
「す、」
す?
「凄いじゃないのよ?!どういう事なの?!どうしてこの学校はドロイドバスターがどんどん集まってくるのよ?!荒木◯呂彦の漫画じゃあるまいし作者にとって都合がよすぎるじゃないのよ?!」
作者って誰だよ…。
「あれじゃないのかな、ドロイドバスターはドロイドバスターと引かれ合うっていう設定。吸引力があるんだよ」
「吸引力って言えばキミカ、あんたのブラックホールの能力が意外なところで働いてるんじゃないの?」
「いやいやいや…物理的な吸い込みだから、それ」
そんな話をしているとき、マコトが言う。
「前にアカーシャクロニクルがどうとかってキサラ先生が話してたけど、今まで存在すら確認されてなかったドロイドバスターなのかな?えっと…『英知のドロイドバスター』とかいう…」
キリカはそれが気に入ったのか、
「英知のドロイドバスター…か。私になかなかふさわしい通り名だな。採用!かっこいいから採用!」
とポーズをとって言う。
かっこ良ければなんでもいいのかよ…。
「これでドロイドバスターが全種類揃ったことになるのね?!これはやっぱり確変くるのかしら?!全種類揃うとビッグサイズのタペストリーとか送られてくるのかしらね?!わくわくするわね!オラわくわくしてくっぞォ!」
などとキサラが調子に乗っている。
どうだろうか。
たまたま時計を見たらゾロ目だったっていうぐらいの嫌な予感しかしてこないんだよね。ゾロ目を見たら何か不幸な事が起きる前触れだとかそんな感じの。
「本当に吸引されたのかしら?キミカのバキュームは色々厄介だからね。キリカちゃんはどうしてこの学校を選んだの?」
おい。
「私は追っ手から逃げているうちにこの街へと辿り着いた。何故かクラスに私と同じ暗黒の波動を放つ者を見つけた…闇の炎よりいでし虚無の星のもとに誕生した者…ドロイドバスター・キミカに」
「あたしの事を調べたわけじゃないんだ?」
「あなたの事を調べたのはあの目が合った瞬間。グラビティコントロールのこともグラビトン砲のことも…そして、漆黒の闇をも切り裂き飲み込む魔剣『グラビティ・ブレード』のことも」
「はいはい…。っていうか、キサラもアカーシャクロニクル・ライブラリを使えるのにあたしの事とか知らなかったんだよね。やっぱり本場の英知のドロイドバスターが使う場合とは違うって事なのかな?やっぱりキサラは偽物傾向があるって事なのかな?」
「うるさいわね!偽物偽物と…!!」
「だって、偽m、イタタタタタタ!!!」
キサラの野郎が俺の首を思いっきりチョークスリーパーかましてくる。お前はユウカかよ。