126 中二病でも愛してる 8

昼食時間。
バイキング形式(ビュッフェ)のアンダルシア学園食堂が珍しいのかキリカは眼帯をしてないほうの目を輝かせて沢山の食べ物を皿に持っていた。
それにしても大所帯になったもんだよ。
最初は俺とユウカとナノカだけだったんだけど(たまにメイが合流)今ではユウカ、ナノカ、俺、ナツコ、メイリン、コーネリア、マコトに加えて新しく転校してきたキリカがいる。
キリカは席につくとフォークや箸を並べて皿を中心に置き、目を瞑ってからブツブツと何かを唱え始めた。気味が悪い…。
「ちょっと、あんたが聞きなさいよ」
とかユウカが俺に向かって言う。
聞きなさいっていうのは「何をしてるの?」って聞けって事だ。興味があるのだろうか。別に何をしようと彼女の勝手だろうに。
俺は特に他人が何をしているのかに興味を持たない。というのは、他人に自分の事についてとやかく言われたくないから、逆に他人に干渉しないのかもしれない。
「えっと…キリカさん…何をしているの?ってユウカが聞けっていうから仕方なく聞いてるよ」
素直に俺は言う。
「ちょっ、」
とユウカが俺に何か文句言いたげに睨むのだが、その時キリカはユウカの問に対して回答する。
「人間界の汚れた食べ物を術式によって浄化しているだけ」
「じょ、浄化…それは内部被曝を避けるためとかそういう…」
「この世界の食べ物は殆どが生きていたもの…それにはアカーシャクロニクルとのソウルリンクが張られている。これのリンクを解除して供物を食すのという行為は私がただそうしたいからしているだけ。なんとなく気持ち悪いから…」
「は、はい、ごめんなさい」
それから俺はユウカを振り返って、
「だ、そうです…」
そう言った。
「い、意味がわからないわ」
「同意です…」
それからしばらくすると「頂きます」と言ってキリカは取ってきたそれらの供物(食事)を食べ始めた。
「もうソウルリンクとかいうのは解除されているの?」
「(こくりと頷く)」
「あたしもそれを食べてみていい?」
「どうぞ」
差し出された皿の上から豆を一つだけフォークで突いて、その時、豆の気持ちになって「痛いよォ」と俺は裏声で言いながら、口に運ぶ。運ぶ時も豆の気持ちになって「うわぁぁあああぁぁ…」と裏声で叫びながら。豆を口の中へと放り込む。
「もぐもぐ…普通」
「味に違いはない」
「ふぅーん」
しばらくしてからナツコがキリカに話し掛ける。
「時にキリカさん。部活は何をするか決めましたの?」
「決めてない」
「前の学校ではどのような部活に?」
帰宅部…」
ほほぉ…俺とおんなじか。
帰宅部…キミカさんと同じですわね」
キリカが俺の方をじっと見つめる。
帰宅部の成績はどうだったの?全国大会にでるレベルなの?」
「県大会まで出場したけど団体戦で敗れた」
「ふぅ〜ん…中の上ってところかな」
そんな俺達の会話を聞いてユウカは、
「何を話てるのよ…」
などと呆れた顔で言う。
「確かにキミカさんは帰宅部ですが、正式には水泳部に所属していますわ。ゴーストですけれども」
「ちょっ、それは言わなくてもいいじゃんかよ!」
ナツコに文句を言う俺。
「どうしてですの?」
「これ以上カオスが混入する余地はないんだよ。ま、まぁ、キリカのおっぱいを見てみたい気はするけれども、ナノカやマコトでペチャパイメンツは埋まってるからなぁ。あとはユウカみたいなデカパイ系が水泳部に来てくれると、」
「…それって水泳部関係無いんじゃありませんの?」
間髪入れずにユウカも話に割り込んでくる。
「デカパイ要員ですってェ?!誰がデカパイよ!」
「デカパイじゃないの?」
「美乳よ美乳!」
え、この前までチチが大きいのが男にモテるはずって理論を振りかざして俺の美乳理論を崩そうと躍起になってたくせに、なんで変わってんの?!まさかこれもアカーシャクロニクルの…んなわけないか。
「そんなにデカパイが欲しいならメイリンに入部して貰いなさいよ。おっぱいは私並に大きいじゃないのよ」
「よし、メイリン、オマケにコーネリアの両名、水泳部に入ろうか」なんて俺が言ってみる。
「水泳部?私、泳げないし、それに水泳部の女子、ガタイが良すぎていまいち興奮できない…キミカが毎日部活でるなら参加する」
うわぁ…俺でも思ってても言わなかった事をストレートに言いやがった。さすが外国人、自分の意見は空気を読まずにスラスラ言う。
「右ニ同意デス」
うわぁ…こいつもストレートだぁ…。
話をもとに戻すようにナツコが言う。
「体育の時間に見ていましたけれども、スポーツ系の部活は苦手なようですわね」
「ク…本来の姿に戻れば運動どころか超人的な動きはできる…今は魔力の暴発を防ぐために仮の姿となっているだけ」
「放課後に案内してあげればいいじゃないのよ。文化系の部を」
お前は案内しないのかよ!!
「ん?何よキミカ…?私は運動部系なら案内できるけど、文化系はねぇ…ナツコに案内してもらえばいいじゃない?」
単純に案内するのが嫌なだけだろう!!
「わかりましたわ。わたくしが案内したしますわ。キミカさんもついてきてくださいます?」
「え、ちょっ、なんであたしが?!」
「それは隣の席ですし…」
「それだったらナツコは隣の隣の隣の隣の席じゃんか!」
「わたくしは隣の隣の隣の隣の席の右斜め前ですわ。というかほぼ教室の反対がではありませんの。それだとキミカさんの席のほうが近いですわね。比較するのならキリカさんの席の前後左右で決めるべきだと思いますわ。っていうか隣の隣の隣の隣の席の右斜め前のわたくしが案内をするのですから隣の席にいるキミカさんは案内どころの騒ぎじゃありませんわね…」
「案内どころの…さわぎじゃなぃ…ということはもうキリカの下の世話をするレベルっていうこと…」
俺がそう言うとキリカは顔を真っ赤にして、
「なな、なななななな、何言ってるの!」
と可愛く慌ててみせた。
とりあえず放課後に部活の案内をするのはナツコと俺とマコトの3人となった。っていうか皆冷たすぎだろう、一緒についてくるだけでもいいのに!!!(俺が言うなっていう)