126 中二病でも愛してる 6

変なポーズを取るキリカ。
眼帯の奥の目はやっぱりカラーコンタクトだった。左右の目の色が違うのはキサラがドロイドバスターになった時に見たことがあるが、あれとは違って左目だけ黄色で猫のような目になっている。
「魔力…解ッ放ッ!!!」
…。
しーん。
その変な空気に、
「HaHaHa!!Yeah…」
コーネリアが吹き出して笑っている。
「えと、どうなったの?」
俺が聞いてみるもポーズを取ったままのキリカはそれに答えるわけでもなく、ただじーっとしている。
あっけにとられて相手チームはサーブ権があるのに中々打ってこない。挙句にボールをぽとんと地面に落としたのだ。
その時だった。
「(ピピーッ!)反則です!緑川さん。退場!」
え?なにそれ?
ボールを落とそした相手チームの緑川が退場になった。って、それ?どういう意味?そんなルールあったっけ?
「え、ちょっ、何それ?!」
「だってバレーのルールでサーブの時にボール落としたら退場だよ?」って平然とした顔で審判をしてたユウカが言う。
俺はバレーのルールはある程度知ってはいるつもりだが、サーブでボールを落としただけで退場とか、っていうかそもそも退場っていうものあったっけ?サッカーの話じゃなくて?
「もー!緑川ァァァ!」
向こうのチームでもその変なルールに違和感を覚えるものは居なくなったみたいなのだ。緑川はそのまま退場となってしまった。
「え?マジで?マコトォ、そんなルールあったっけ?」
「ん?あるじゃん?」
「え、ちょっ、じゃあルールブックを見てみるよォ?」
ちょっと遠いけど無線でaiPhoneと電脳ユビキタス接続できるはずだ。ふむ。接続できた。そこからネットに接続して…バレーのルールにサーブでボールを落としたら反則で退場になるのかサーチ。
やっぱりそんなルールはない。
でも、ここにいる俺を除いて全員がそのルールになんら文句はないみたいなのだ。みんな信じてるのか?
「ちょっと待ってよ、本当にそんなルールあるの?」
俺は異議申立てをする。
「あるわよ?なにいってんの?」
ユウカは平然とした顔で答えた。
そういえば最初、ユウカが反則判定出した時に「え、ちょっ、何それ?」ってバレー部員が言ってたような気がしたけど。そのバレー部員に俺は聞いてみる。
「本当なの?バレーのルールにそんなのあるの?」
「ん?あるよ?」
いやいや、お前さっき「え、ちょっ、何それ?」って言ってたよな?アレは何だったんだ?!
…。
いや、まてよ…。
まさか…。
いやいやいやいや、それはありえない。
ありえないよ。
いや、でも…まさか…。
キリカが『ルール』を書き換えたのか?!
俺はキリカを見てみる。
ドヤ顔で笑っている。
「クックックック…。『アカーシャクロニクル・パラダイムシフト』。この能力を使った瞬間からルール・概念を好きなように書き換えることができる…彼等人間にとって幸いなのはこの私がまだ真の姿に変わる前にこの能力を使ったこと…」
な、な、な、な、なんだってー!!!
「ま、マジで…」
「しかしキミカ。あなたは『さすがは闇の眷属』と、いったところ。私のアカーシャクロニクル・パラダイムシフト影響下でもあなたの中にあるルール・概念までは書き変わっていない…」
「」
「これは私の能力の片鱗に過ぎない…」
「ちょっ、ちょっと待って。今いいこと思いついたんだけど」
「…?」
「例えば『バレーのコスチュームはパンツとブラ一丁』っていうルールに書き換えることはできるの?」
「え、ちょ、…ええぇぇぇええぇ?!」
なんか素の反応が可愛いな。
キリカは顔を真っ赤にして俺の言ったことに反応している。
「で、できるけど…それをやってどうするの…」
「どうって…目の抱擁?」
「」
「まぁまぁまぁ、少しだけだから!少しだけ!先っちょだけだから!先っちょだけ!すぐに終わるからー!」
と俺は今時オジサンでもそんな事言わないだろうって恥ずかしい事を言いながら深々と土下座して頼んだ。
「わ、わかった…ちょっとだけ…」
…。
暫くすると、
「あれ?なんでみんなバレーやるのにユニフォームじゃないの?ほら、ちゃんとルールに従いなさいよ」
とユウカが言い出したのだ。
「あぁ、そうだったわ。忘れてた」
おいおいおいおいおいおい!!
服を脱ぎだしたぞこいつら!!
「ユニフォームじゃないと動きづらいのよねー」とか言いながら服脱いでる。っていうか、動きづらいのは賛成だけどパンツ一丁がユニフォームとかどこの国技だよ!!スモウか?スモウならありうるな!
「キミカちゃんもまだユニフォームにならないの?」
とマコトがちっさなブラに覆われたちっさなおっぱいを俺に見せびらかしながらパンツ一丁になっていく。
「キミカ。早く脱げ。試合を再開するぞ」
メイリンが全裸になりながら言う。
いや、待て。
パンツまで脱ぐルールじゃないぞ!!
「どうした?」
「パンツまで脱がなくていいよ!!」
「そうか。私、バレーのルールよくわからない」
「…」
俺は体操服を脱ぎながらいつキリカが服を脱ぎだすのかじっと見ていた。しかし顔を赤らめたまま、いっこうに脱ぎだす気配がない。
「審判!キリカがまだ服を脱いでないよ!」
まぁおっぱいはマコトなみにちっさいからあんまり期待はしてないけど、それでもやっぱり男なのでキリカの下着姿は見たい。
「え?柏木さんは脱がなくていいのよ?」
「へ?」
「公式ルールでは柏木桐華さんだけはユニフォームじゃなくてもいいことになってるの。だからそのままでいいのよ」
な、な、な、な、なんじゃそりゃァァァァァ!!
俺は目ん玉ひん剥いてキリカを見つめる。
顔を赤らめて俺から目を逸らして口笛で誤魔化すキリカだった。