96 アンダルシア・コンフィデンシャル 11

3方向から挟まれ、最後の1方向を俺がシメとして登場する。
「ふぁ…ふぁ…」
始まったぞ!!
「ファッビョーン!!!」
と言うも早くソンヒは袖からハンドガンをすらっと取り出すと俺に向けて撃ちまくる。それをブレードで弾き飛ばす俺。
そして2分後。
「や、やめろニダァ!!」
夜の人が少なくなった商店街にこだまするソンヒの叫び声。
「武器は何も持ってないか?」
メイリンはさっきからソンヒが他に危険そうなものを持ってないか、まず確認する…という素振りを見せながらもメイリンのおっぱいなどを触っていた。
「は、離せにだァ!!謝罪と賠償をy」
「ドコニモアイリマセンネー」
「や、やめろニダ!!そのバッグに触るな!」
コーネリアが触っているのはソンヒのバッグだ。
ユウカもそれを見ながら、
「どう?麻薬はあった?」
と言ってる。
「アリマセーン…アッ!…ソウイエバ…ジャパニーズハ麻薬ヲ隠ス時ハパンツノ中ニ隠スンデシタァー!」
「いやいや、それは一部の俳優だけだから」
とりあえずツッ込んでおこう。
しかしそれ以降は俺は何も手を出さない。ほら、案の定、メイリンによって羽交い絞め状態にされたソンヒのスカートをコーネリアが下にずり落とすと、ピンク色のパンティーが顔を覗かせるではないか。しかもそのパンティーの中から紐が垂れてる。
紐…?
「What…The…紐?」
俺は思いついたのだ。
「なるほど、その紐を引っ張ると麻薬が出てくるかもしれない」
「ち、違うニダァ!!」
そこにユウカが止めに入る。
「待ちなさいよ、それはアレでしょ…ほら、生理用品の…」
「タンポン?」
「そ、そうよ、それよ」
「引ッ張ッテミナケレバワカリマセーン!」
言うが早くコーネリアは紐をグイグイと引っ張る。しかしなかなかでてこない。そうとうシマりがいいようだ。いや、乾燥してるから出てこないのだろうか。女体の神秘である。
「こうやって少し刺激して濡らせば出てくるんじゃないかな」
俺はそう言ってソンヒのクリトリス近辺をスーッスーッと人差し指と中指でマッサージする。
「あっ…あッ!や、やめろォ…ニダァ…」
「段々湿ッテキマシタァ!」
「そろそろ出るかな?」
「アアアアアアアアアアアアッ!!」
(スポッ)
本当にスポッっという音に相応しい出方をした。水分を断ち切る為の袋に入ってる…。
白い粉が。
その時、わりと近くの方で車がタイヤをこするような音が聞こえたのだ。見れば白いワゴンが猛スピード・猛ターンで路地を曲がって俺達がいるところに突っ込んでくるじゃないか。しかもターン時にゴミ箱を思いっきり弾き飛ばして、寝ているマコトにそのプラスティック製のゴミ箱を直撃させて(それでもまだスースーと寝息立ててたが)
あまりに突然の展開だったので俺もメイリンもコーネリアもただ今起こっている出来事に対して理解をしようとする事に脳みそを使っててあのワゴンの突撃をかわそうとか防ごうとかまったく考えてなかった。
そのままワゴンはコーネリアと俺を跳ね飛ばしやがった。
そしてワゴンの後部ドアが開いた時、ヤクザっぽい出で立ちをした男が懐からハンドガンを取り出すとメイリンに撃つ。撃って撃って撃ちまくる。…が、メイリンは矛でそれらをすべて弾き飛ばした。
だがメイリンが矛を両手で掴んだ事で、ソンヒは羽交い締め状態から開放され、銃を撃っていた男以外に出てきたチンピラっぽい出で立ちの男達にワゴンの中に引っ張り込まれた。
それがあっという間の出来事だったので、その場にいた全員が、
「「「え〜…と…?」」」
と首を傾げたのだ。
…。
さて、整理しよう。
俺達は何をしていたのか?
麻薬を売ってる売人を捕まえようとしていた。
俺達は何を見つけたのか?
麻薬をソンヒのアソコから見つけ出した。
ワゴンから出てきてソンヒを拐った連中は何者?
「きっとあいつらが麻薬の売人よ!」
ユウカが身体を乗り出してその疑問に答えた。
あれから酒に酔って寝ていたマコトを抱えて、俺達は近くの喫茶店へと雪崩れ込んだのだ。そしてまとめ作業に入った。
「ソンヒは連れ去られたのかな?」という俺の質問に、
「いえ、あの女の子は奴らの仲間よ」
ふむ。
俺はソンヒの事はあまり詳しくは知らないけど、アイツは朝鮮人か、または朝鮮人の血が半分ぐらいは入っている日本人だろう。あの言葉の感じや雰囲気からすると。そしてここいらの不良を取り仕切っている。
…のか?
以前アンダルシア学園の女子生徒が連中に性的な暴力をふるわれたってう一件があった時、学校に連中の家族やらが押しかけてきて謝罪と賠償が云々っていう話になった事があった。教頭が冷や汗をかきながらそれに対応したけども、結局最後はネット右翼の力を借りて連中も予想だにしなかった反撃をこちらが取ったことで一応は一件落着。
しかし、その時にはソンヒはあの親達の中には居なかった。
つまりソンヒ=レイパー軍団の仲間というわけでもなさそうだ。
別にボスがいてそいつがソンヒを「用心棒」のような扱いで利用している可能性が浮上してきたわけだ。だが、俺達はそれ以上の議論をするとか犯人を追うとか、そこまでする気力はなかった。
気力がない…それはすなわちやる気が無い。やる気が無いというのは、面倒くさい、それから飽きたっていうのがある。
そう、飽きたのだ。
「そういえば、発信機、付けなかったのか?」
メイリンがコーネリアに聞く。
「ツケル暇ナンテアリマセーン…」
ユウカは言う。
「とにかく!あの不良達が怪しいわ!」
「それで、どうするの?」
俺が聞く。
「警察に伝えておく」
「警察じゃなくてマトリらしいよ」
麻薬取締官?」
「そそ、そんな感じの」
「今日来てたあの警察の人…ほら、アンタに『ミサカさん』って呼ばれてた人、知り合いなの?」
「うん、まぁね」
「その人に伝えておいてよ!今日の一件をさ」
「でもあの不良達がどこの何者なのかはわかんないよ」
「制服見たでしょ?岐山高校の奴等よ」
あぁ…。俺はここいらに住んでからそう時間は経ってないからわかんなかったよ。そっか、岐山高校…ね。
「その岐山高校っていうのはここらじゃ、あのさっきの不良が集まるようなダメ高校なの?」
「ん〜…そうねぇ。昔はそうだったけど、今はどうなんだろ?でも、さっきの不良達を見ると今もまだダメダメっぽいわね。アンダルシアが以前まで女子高で今は共学になったのと同じぐらいの時、岐山高校もそれまで男子校だったのが共学になったのよ」
なるほど。
アンダルシアと岐山高校…どうやら男女比率は相対的らしい。