96 アンダルシア・コンフィデンシャル 4

「さてさて、一応最後の外国人ね」
と手を擦りながらユウカはマコトのバッグが教壇の上に置かれるのを待った。マコトは外国人メンツの中では一番マトモそうだけどな。
ゴトゴトゴト、とマコトのバッグの中から色々と…。
…。
アニメグッズが出てきた。
「」
ユウカ顔面硬直。
「あ、あれぇ?別に変なものはないよォ?」
「変よ!変だわ!!アニメグッズばっかりじゃないのよ!」
…俺も普段からマコトと同じ部屋で過ごしてるけど、ケイスケもアニメ見て俺もアニメ見てマコトもアニメ見て…なんら違和感覚えないな。よく考えたら世間一般ではアニオタ部類に入るわけだよな。
「なな、なんでー?!アニメ変なの?」
「変よ!アニメはアニオタが見るものなのよ!」
それは偏見だ!俺はユウカに、
「外国ではアニメは日本のサブカルチャーとして認識されてるんだよ?日本人のユウカがアニメを否定しているのは台湾人のマコトからしたらすごく変な感じに見えるんだよ!」
と言うと、クラスの男子達が窓から教室内を覗きこんでいて、
そして一斉に、「そうだそうだ!」「アニメ=オタクというのは偏見だ!」「というかオタクを差別する事は日本の文化を閉鎖的にする愚かな行為なのだ!ビッチめ!」「ビッチは自分達の価値観がすべてだと思うからな!」「ビッチ!(手拍子)」「ビッチ!(手拍子)」
と一斉にビッチコールだ!
「ビッチじゃないっつぅぅの!!」
額に青筋を立ててキレるユウカ。
それから青筋を収めて「わ、悪かったわよ。確かに偏見ね。アニメは麻薬とかとは全然関係ないし、スルーするわ…」と言った。
キミカグッズとは違ってアニメグッズは取り上げられることはなかった。よかったね、マコト。
そして次はいよいよ俺か。
まぁ俺は麻薬なんて持ってないし、他の外国人と違って変なモノは何も持ってきてないし、ユウカにもクラスメイトにもどうこう言われるようなアレはない。そもそもなんで外国人3人のあとは俺なんだよ?俺はそんなに危険人物かぁ?危険人物日本代表選手かぁ?
「ま、アンタは麻薬なんてやってる感じじゃないわね」
とユウカは言った。
あったり前田のクラッキング講座だバカヤロウ。
ユウカは俺のバッグから色々と出していた。
「ん?これ…なんなの?」
「へ?」
あれ?俺、変なもの入れてたっけ?
「何これ…ケータイの充電器?」
「ケータイの充電器なんて持ってこないよ」
取り出したのはピンク色の球体にコードが繋がり、その1メートルぐらいの白いコードの先にはコントローラーがあるもの、つまりはピンクローターと呼ばれる女子専用のオナニー道具である。
一斉にクラスの女子でそういう系の道具を知ってそうな人達は口を抑えて顔を真っ赤にして目を逸らした。そして視線のやり場を無くして両手で顔を覆ったり机に視線を落としたりする。
「だ、だから何よ?これ」
知らないのかよー。バカだなぁ、ユウカは。
「これはこうやって使うんだよ」
と俺はピンクローターを手に取るとバイブのほうをユウカのスカートの上からアソコにくっつけて電源をオン。
(ヴーン)
「ななななななななな、なんなのよこれーーーー!!!」
「ピンクローターァ〜(白目」
「触るな!」
思いっきりローターを持っていた手をピシッと叩かれ、地面に落ちてしまうローター。バイキンがついたらどうするんだ!
「(ぺろぺろ)」
俺は3秒以内にローターを舐めて消毒した。
「何やってるのよ!!」
「舐めて綺麗にしてるだけじゃん。大事な部分に当てるからね〜」
「あわわわわ…」
俺の行動におぞましさを覚えたのか、両腕で自らの身体を抱きかかえるように抱えて震え、その後、再び額に青筋を立てて、
「オナニー道具を学校に持ってくるな!!」
とキレるユウカ。
「なんでオナニーの道具だって分かったの…まだ何の道具か言ってないのに…いや、まさか、ユウカ…」
と俺が言うとどんどん顔を真っ赤にしていくユウカ。
「(ドヤ顔)」
「その顔をやめなさい!!」
「没収しないでよ?」
「するかッ!」
さて、次は…。ユウカの取り出したるはaiPadだ。
「あら、aiPadじゃない。へぇ〜」
ま、aiPadは怪しいものじゃないよね。
デジモノはケータイと同じで学校に持ってきてもいいし、極端に言うのなら授業で使っても怒られない。
「ま、まってくださいですぉ!」
なんでケイスケが教室を覗き込んでいるんだ?
「なんだよ、先生ィ…」
「キミカちゃんのaiPadが学校に持ってきてもいいものなのか…チェックするにぃ…フヒヒ…もしダメだったら没収にゃん!」
さっきコーネリアのスク水がケイスケのバッグから出てきて俺とコーネリアのプロレス技で悲鳴を挙げさせられるハメになったケイスケ先生の復讐ですかぁ?受けてたとうではないか!
俺のaiPadにはなんら変なモノは入ってないよ?H画像も家のMapのなかにはあるけど外出する時に持ち出すデジモノには入れてないのだ。何が起きるかわからないからねぇ…フヒヒ…。
ケイスケは俺のaiPadの電源をオンにして中身をジロジロと食い入るように見ている。すると暫くしてアニメの1シーンのようなアニメ声がaiPadから流れてくるのだ。
「こ、これは…ダメですにぃ!!」
「な、なんでだよ!(マコトを指さして)マコトはアニメグッズ持ってきてるじゃないかァ!!」
「確かにこれはアニメを動画データに変換してaiPadのなかに収めてあるものですにぃ…しかし!!このアニメは山口県ではまだ放送されていないアニメですにゃん!!テレビ東京のアニメで…」
「いやいや放送されてるよ!」
「いーえ!!このアニメは山口では一週遅れで放送されてますにゃん!つまり、このアニメの『この回』は明日放送される予定ですにゃん!ネットから違法にダウンロードされたって事になりますにぃ!!教育に関わる者として…先生としてこれを見逃すわけにはいきません!」
そ、そこまで知ってるのかよ!!教育に関わるもののくせしてアニメの知識詳しすぎるんだよクソったれが!
「はい削除っと(ポチ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
クッソゥ…またデータを移しておかねば…。