93 僕は友達がいない 6

さて、注文した肉は平らげたぞ〜
次は何を注文しよっかな?
と、俺がメニューを手に取ろうとした時だった。そのメニューの向こうにどこかで見たことがある顔があるのに気づく。
いや、この顔は忘れない。
語尾がニダの人だ。いや、誤魔化さずストレートに言おうか…「ダサいスマートフォンを使っている在日朝鮮人のソンヒ」だ。
この野郎、最初っから店にいたのか?
存在感がなさすぎて気づかなかったぞ。
その糞(ソンヒ)が俺の顔を見ながら笑っているのだ。
奴は当然ながらこんな店に1人で来るだけの度胸があるわけでもなく、テーブル席を陣取る。周囲には街のゴロツキ達が勢揃い。
たしかあのゴロツキどもはソンヒの事を『姉御』とか言って慕ってたっけ…。ほんと、腰巾着みたいな連中だ。
そのソンヒがヒソヒソと話しては「ギャハハハハハハ!!」と周囲のゴロツキどもを笑わせている。どう考えても俺の顔を見ながら言ってるから俺の悪口だ。いや、そういう風に思わせて俺の神経を逆なでし、憤慨する様子を観察しているのかもしれない。
マジでムカつく。
その糞(ソンヒ)の部下っていうか腰巾着の不良(男)が俺のほうへとやってくるではないか。殺されたいのか?しかし、俺のほうをチラっとチラ見しただけでそのまま過ぎていった。どうやらトイレへと行ったみたいだ。店の奥にトイレがあるんだな。
しばらくするとトイレからソイツが出てきて、また俺のほうをチラっと見てからそそくさと歩いて過ぎていく。
なんなんだァ?
背後から見てるから気づかないとでも思ったのか?俺は心眼道を身に着けてからか微妙な空気の流れの差も読み取って、そいつが俺のほうをチラ見したことぐらいは背後だろうが前だろうが上だろうが下だろうが壁の中だろうが把握できるんだぞ?
まただ。
また別のソンヒの腰巾着が俺のほうをチラ見しやがってる。そのままトイレへ。そしてトイレから出た後に背後から俺のほうをチラ見して行きやがった。チラ見しただけじゃ殺す理由にはならないな…。
『お、おいおい…あの不良達、明らかにバカにしてるぞ』
『よくみたらソンヒっていう朝鮮人だよ。キミカちゃんの知り合いだったような…』
『なんだ、友達なんじゃないか』
いやいやいや、友達じゃないよ。そんなクソ連中と友達なわけがない。強いて言うのなら、スーパーマリオブラザーズで言うところのクリボーファイナルファンタジーで言うところのゴブリン、ドラゴンクエストで言うところのスライム。雑魚だが経験値稼ぎにもならないし、金は落とさないし、冒険がスタートした時だけは注目されるけど後はもう背景みたいなもの。背景だよ背景。
『友達じゃぁ…ないかな。知り合いだと思う』
とマコト。
いや、それにしてもだよ、まだ背景は…いや、そのクソ野郎どもはチラチラと俺のほうを見てはニヤニヤ、チラチラ、ニヤニヤ、チラチラを繰り返してやがりますよ?精神攻撃かぁ?
…。
ヌゥゥゥゥゥ…(白目
なんだよ。
俺が何か悪い事したのかよ?
1人で焼肉食べてるだけなのに、なんでこんな風にチラチラ・ジロジロと見られなきゃいけないんだよ?
クソ…ッタレ…ガァァァァァ!!
今度は2名だ。
ソンヒと腰巾着が俺のほうへと歩いてくる。そして俺のほうを見て、
「ニダァ…(ニタァ)…1人で焼肉してるニダ!カワイソォー!サミシソォー!きっと友達が1人もいないニダァ!ハハハ!!」
てぇ…ぇ…ンめぇ…。
「1人でテーブル席陣取って、邪魔じゃね?ウケる!!!」
こォ…ンの野郎ゥゥ…。
『おいおい…大丈夫か?俺が手伝おうか?不良に絡まれたらさすがにマズイだろ…』
『キミカちゃんなら大丈夫だよ、めっちゃくちゃ強いし』
『マジで…?』
と金髪くんとマコトのやりとりが聞こえる。
しかしそんなコタァ今はどーでもいい。
「ここで待ち合わせニカァ?そうじゃなさそうニダ!」
「もしかして姉御、お知り合いですか?」
「ンなワケないニダァ!こんなボッチさんはお知り合いじゃないし、きっと誰も友達が居ないハズニダァ!」
「ですよねー!さっきからボッ」
(ズドン)
俺はその腰巾着にディープな一撃を繰り出した。しかし0.00001秒ぐらいでミゾオチにブチ込んだだけなので誰にも見られてない。超高感度カメラで俺を映せば見えるだろう。
しかし、ダメージは確実に伝わっている。
『い、今、なんだったんだ?』
『キミカちゃんのハイパー高速パンチだよ』
『マジかよ…』
「う…う…」
俺の一撃が効いてきたらしい。思いっきり胃の中で火山を噴火させるようなパンチだったからな。
「う?」
「う゛お゛ぉお゛ぉおお゛お゛ぉぇ゛ぇえ゛えぇ゛ぇっ!!」
「ぎゃあああああああ!!何、突然吐いてるニカ?!」
ソンヒはその後、俺のほうをチラっと見て、
「お前、何かやったニダ!!何笑ってるニダァッ!」
「べっつにー(ドヤ顔」
ソンヒはゲロまみれになった腰巾着、いや、ソンヒの部下をつれて元の席へと戻っていった。
これで俺が終わると思うなよォォ…。
俺はグラビティコントロールでソンヒのテーブルに置いてあったキムチ皿を思いっきりソンヒの顔面へ直撃させた。
(べちゃ)
ソンヒの顔や学生服がキムチまみれでキムチイー!
「ちょっ、姉御、何やってんスか?」
「うわぁ…」
と部下たちが心配するなか、ソンヒの顔面に張り付いたキムチ皿はまだ取れない。俺が思いっきり貼り付けてるからなんだけどね。
「(ンーッ!)」
キムチ皿を指さして「早く取れ!」のジェスチャーをするソンヒ。そこでようやく状況に気付いた部下の一人がソンヒの顔からキムチ皿を剥がす。と、そこにはキムチで顔を真っ赤にしたのか、怒りで真っ赤になってるのかわからないソンヒが居た。
「ふぁ…ふぁ…」
くるぞ、くるぞ…。
「ふぁ…ふぁ…ふぁ…」
くるぞォォ!!
「ふぁぃぇッ…ックシュン!」
くしゃみかよ!
「ファビョーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!」
キタキタキタキタキタ!!
キマシタワー(塔)
「ちょっ、姉御、キムチまき散らさないでくださいよ!」
「うッ、クッセ…」
「クッサーッ!」
不良達にはさんざんクセェクセェ言われるソンヒ。
「あの日本人がキムチを顔面パイ投げしたニダァ!!!」
と、俺を指さし怒り狂うソンヒ。
「(ひゅーひゅひゅー)」
俺は下手な口笛を吹いて誤魔化す。
「コォんのクソ日本人ァァァッ!!」
と、ソンヒのバカは袖の中から小型のハンドガンを取り出して俺に向かって放つ。同時に俺はグラビティブレードを引っ張りだしてバシンバシン銃弾を弾き飛ばす。
こんなクソ弾俺に効くと思ってんのァ?!
『おいおいおいおい!!警察呼んだほうがいいんじゃねーのか!』
『大丈夫、大丈夫、いつもの事だから』
そう、いつもの事だから!
銃撃戦の中、朝鮮人店主はソンヒに朝鮮語で「喧嘩なら外でやれ!」、俺には日本語で「それ以上いけない!」と言う。
ソンヒとの距離を詰める。その間もソンヒはバックしながらハンドガンを撃ちまくる。俺が弾き飛ばす。というのを繰り返し、店主が言うまでもなく俺とソンヒは店の外へと戦闘区域を変えるのだった。