91 ガード・ユア・アヌス 9

「まだチョコ、溶けてない!サポートお願い!」
メイリンがそう叫んだ。
なるほど。あのペニス(の形のチョコ)はメイリンのケツの穴の中に完全に収まってはいるけども、まだ溶けてない。その状態でにぃぁに襲われたとしても奴は気づく。毒・つまりはペニス型のチョコ(作:キミカ)が入っている事に!
メイリンの矛による攻撃がまるでゲームの1シーンのように、普通に見れば残像にしか見えないモーションとなってにぃぁに降り注ぐ。「百烈突き」って奴か、しかもにぃぁはそれを足のポジションを変えないままで楽々と交わしている。
しかし、どんどん高速になる『突き』
まるでにぃぁがどこまで速く動けるか試すかのように。
次第ににぃぁの戦闘服にも突きによる衝撃波がぶち当たって、切り目が入ったり破片が飛んだりする。いよいよにぃぁも交わすだけでは通用しない速さになる。常人が見れば残像すらも見えない高速な動きである。その中でにぃぁは爪により矛の攻撃を交わす。
ガリッ…。
そういう音が聞こえたと思ったら、今まで残像しか見えなかった『突き』が止まり、にぃぁが矛を両手の爪でキャッチしているのが見えた。矛はガリガリと音を立てながら削れている…。もしかして、にぃぁの爪って俺のグラビティブレードと同じか?
それは一旦置いといて、矛の攻撃をガードしたにぃぁの次の攻撃は必ずメイリンに仕掛けてくるのは目に見えている。俺はグラビティコントロールを発動させてにぃぁの地面ごと上に押し上げる。そこに連携攻撃でコーネリアのミサイルが次から次へと命中。
空中に火柱が舞い上がる。
そのなかから飛び立つ影。
にぃぁは爆風の中を掻い潜って(かいくぐって)飛び出ると、体育館の壁に着弾、いや着地。…っていうかそこに着地するか?あんのクソ猫野郎、重力の法則を無視しているな…。
休む間も与えるかよ!
俺はすぐさま武器をレールガンに切り替えると、にぃぁに向かって撃ちまくる。相変わらず重力の法則を無視しているにぃぁは体育館の壁を地面に見立てて4足歩行で走りまくる。
体育館の壁から粉塵とレンガやら鉄骨やらが巻き上がる。
逃げるにぃぁ、追う俺のレールガン。
にぃぁは夕焼け空を翻って再びテニスコートへと着地しやがった。しかし、俺だけが相手だとそれでもいいだろうが、今は俺とコーネリアとメイリンが相手だ(マコトはさっきから気絶中)
そう簡単には『着地すら』させないぞ。
「(カチリ…)」
着地したところには既にコーネリアが地雷をセッティングしているのだ。馬鹿め!!吹き飛んでしまえこのウンコ採取野郎!
「Yes!!」
捉えた!って感じにコーネリアがガッツポーズ。
次の瞬間、にぃぁの周囲が青白い光に包まれたかと思うと、体育倉庫の壁(俺のレールガンによる攻撃でボロボロになっている)が爆風で吹き飛んだ。テニス部の部室も同じく。その爆風の中心で火柱があがっているのが俺にもわかった。
「Die!!!Son of a bitch!!」
叫びながら中指を立てるコーネリア。
しかし…しかしだ。
俺はにぃぁを一度怒らせた事があるので、この程度では死なないという事は既に熟知している。俺の目にはあの爆風で造り出されたクレーターの中心に倒れているにぃぁは映らなかったのだ。そう、俺の目に映ったのはしっぽが4本に増えているにぃぁの姿だった。
にぃぁは腕を付き出して俺達のほうに向かって指をさすようなスタイルを取っている。これはナメてるのか?俺達はナメられてるのか?スポーツモノのアニメではバッターがからかうような意味合いでホームラン宣言をするっていうのがあるけど、今にぃぁがやってる事はああいう意味と捉えてこちらとしては怒ってもいいのだろうか。
…いや、いやいや、違う、これは違うぞ!
「コーネリア!!避けて!」
「What?!」
俺はコーネリアの腕をとって自らのほうに引き寄せた。
と、次の瞬間、上空から凄まじい重力波がテニスコートに落下してきた。4メートル直径大のクレーターのようなものができる。これ…俺のキミカ・インパクトじゃないか!パクりやがって!
再び俺とコーネリアは宙を回転しながら交わす。キミカ・インパクトならぬ、『にぃぁ・インパクト』を。次から次へとにぃぁ・インパクトが放たれて俺達は弄ばされているような気さえする。
「踊れよ、ほらほら」ってかァ?!
俺は確実に交わせたが…コーネリア…ヤバいって!もうちょっと素早く動けよ!交わせないぞ…!って俺が思ったその時だった。
コーネリアは以前、俺達と一緒に罰として掃除をさせられた時に、ホウキを金に変えたあの構えをした。目の前で腕を組んだのだ。
パァッ…と光輝いたかと思うと、一瞬でコーネリアの周囲の土が分厚い鉄になり、それらが重なりあって鎌倉みたいなのを創り上げる。凄い…まるでヘカーテみたいだ。周囲の物質を変換してるのか。
しかし、にぃぁは無慈悲にもそこにさらににぃぁ・インパクトを叩きこんで来やがった。凹む鉄の鎌倉。
だが、それは俺に攻撃のチャンスを与える事になるのだよ、ククク…。コーネリアに対する攻撃に神経を集中しすぎていて俺に気付かなかったのか。もう間合いに入った。俺のブレードによる連続攻撃がにぃぁのガードを崩す。
そこへ俺の回転回し蹴り(下)
にぃぁは身体のバランスを崩して宙に翻る、というところで、回転回し蹴りがにぃぁのミゾオチを『腹パン』続けざまに踵落としを背中からお見舞いし、キミカ・インパクト級のクレーターを作る。にぃぁは俺にマウント姿勢を取られるのを避けて転がって交わすが、そこへ俺のブレードがにぃぁ首を狙って流れるように入る。
後少しのところでにぃぁはかわしやがった。
センスの良い奴だ。逃げのセンスだ。
しかし、さすがに尻尾の軌道までは攻撃回避の計算に入ってなかったようだ。俺のグラビティブレードは尻尾を撥ねた。
「にぃぃぃぃッ!」
尻尾を残して後方へと吹き飛ぶにぃぁ。
切断した尻尾はまるで真ん中にブラックホールでもあるかのように、中心に向かってズルズルと引き込まれていき、空間の中へと消滅した…マジ…で、何これ…キモぃ…。
って驚いてる場合じゃない。そういえば、はじき飛ばした時に既に俺は「キミカ・インパクト」をセッティング済みだったのだ。
見えない重力波が空から地面(一番大きな重力=地球)に向かって降り注ぐ。4メートル直径大で深さは40センチぐらいの穴がボコボコボコとテニスコートを穴だらけにする。
にぃぁは空からの重力波攻撃に逃げるのが精一杯だった。
もうここからは攻めの一手。にぃぁは防戦一方。
俺のキミカ・インパクトとグラビトン砲、そしてコーネリアのミサイルによる絨毯爆撃。
「準備完了だ!」
突然メイリンが叫ぶ。
準備?なんの?
あぁ、そうか…そういえばそんな事もありましたねぇ…。お尻の穴にチョコレートを入れるとかそういうゲイチックな事が…。
メイリンはチャイナドレスの裾をエロティックに広げて太ももを晒した。そしてにぃぁのほうにケツを向けて「こい!」と言ってる。
よし、作戦いくか!
俺は後方にジャンプする。そしてグラビティコントロールで周囲の土を盛り上げてメイリンとにぃぁ二人っきりの空間になるようにした。トドメはコーネリアの形態変化だ。テニスコートの表面を鉄にして鉄格子を創りだしたのだ。ちょうど動物園にあるような…。それで念入りに、しつこいぐらいに鉄格子を張り巡らせてにぃぁを外に脱出できないようにした。
「おい!私を閉じ込めてどうする?!」
メイリンが檻をひっつかんで俺達を睨む。
あぁ、メイリンいたの…。
「あ、にぃぁが、」
って俺が言った時、にぃぁが思いっきりメイリンのケツに顔を埋める光景が俺の前に広がったのだった。
「はぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
顔を真っ赤にしてメイリンが悶えている。
もう邪魔する奴は居ないから余裕で吸って吸って吸いまくるにぃぁ。まるで餌を与えられた飼いならされたライオンの様に。
メイリンメイリンで太ももに愛液っぽいのを垂らしまくりながら悶えている。もうスケベなんだから…。
「あ…あぁぁ…ぁぁん…」
しかし、あれだけ激しく吸い付いていたにぃぁの動きが突然鈍るのだ。これは、やっぱ俺の毒が効いてきたか?
メイリンのケツから顔を離したにぃぁは目は虚ろで足はフラフラ、身体中から汗が出まくっている。一口食べただけで俺は失神したからな、メイリンの肛門からどれだけ吸い出したか知らないけど、こりゃにぃぁヤバいんじゃないの?ワロタww
次の瞬間、アレだけ元気に飛び跳ねていたにぃぁの動きはとまり、まるでサラリーマンが嫌いな上司との飲み会で付き合いの一気飲みをさせられた挙句に感覚が麻痺して上司もドン引きするぐらいに飲みまくったあげく、飲み会会場でゲロを撒き散らすかのように腰を曲げて地面に向かって、
「お…お…お゛…ぉ゛ぅぇ゛ぇ゛…」
耐え切れず一気に吐き出す。
今まで食べてた(俺達から採取した)チョコを全部。もうなんかメイリンのケツからウンコ吸い出してたら気持ち悪く(そりゃそうだろ…)て胃の中のウンコを全部吐いちゃったみたいな、そういう光景が俺達の前に広がって俺達もドン引き。
「おお…お゛…ぉ゛ぇぇぇぇ」
吐いてる吐いてる!
効いてる効いてる!!
涙ぐみながらにぃぁはウンコを吐き出し、いや、チョコを吐き出し、それが勿体ないとでも思っているのか、吐き出したチョコを吸おうとするのだが、そこには俺の毒が入っているわけで…吸おうにも吸えない。そのうちどんどん土に染みこんでしまう。
そう、その光景こそ、俺達の勝利であった。