78 未だにサンタクロースとか信じてる人って… 4

コーヒーとケーキはたいらげた。
一人1切れだったはずなのに、俺だけ余ったケーキも頂いて2切れ食べたぉ〜!うまかった。
「と、ところでサンタ様」
ユウカ妹が俺に言う。
「ん?」
「どうして私の召喚に応じてくださったのですか?」
「あ〜…」
そういえばそうだった。ユウカ妹にサンタクロースのプレゼントを渡すのが俺の目的だったのだよ。うん、忘れてた。
「えっと、プレゼントを持ってきたの」
と俺は…プレゼントが入った…白い袋が…。
どこにもない。
あれぇ?
っていうか、プレゼントって俺、買ったっけ?
ユウカにもプレゼントもらってないよな?なんで俺サンタの格好してるんだっけ?サンタの格好で現れて、までは聞いたけどプレゼントまでは…聞いてないぞ?どうすりゃいいの?
「えっと…」
プレゼントプレゼント…。って、俺、サンタのコスプレに着替えた時に2階に自分の財布とか置いてきちゃったじゃないかヤベェ…。財布から100円ぐらいあげようかとか思ったけどこれじゃダメじゃん。それに2階までプレゼント取りに行くとかマジでかっこ悪いし、どうすりゃいいのよコレ…。
取り敢えず、俺が今所持しているものであげれるものがないか探す。探す…ひたすら探す。あぁ、そうだ。
俺は武器リストの中からショックカノンとプラズマライフルとレールガンを取り出してテーブルの上に並べる。
「「「…」」」
一同がそれを見つめて固まる。
「こ、これがプレゼント…ですか…サンタさん…」
ユウカ妹がそう言って固まる。
「つ、つまり…」
ナノカがそう言って固まる。
「死ね、って事…?」
ユウカがそう言って固まる。
「いやいや、まさか〜…冗談キツイな〜みんな。あははは…」
とりあえず俺は笑って誤魔化す。
それから銃のマガジンを抜いて弾を抜いて、
「この弾をあげましょう」
ユウカ妹にはプラズマライフルの弾を、ナノカにはレールガンの弾を、ユウカにはショックカノンの…って、ショックカノンは弾がないか。俺はユウカに「ごめん、この武器は弾はないの」と言い、プラズマライフルの弾をあげた。
「ときに、サンタ様…」
俺が武器を武器リストに仕舞う時にユウカ妹が話し掛けてくる。
「ん?」
「サンタ様のその武器は…一体何に使うのですか?」
恐る恐るといった感じで俺に聞いてくる。
ここは俺もちゃんと答えてやらねばなるまい。
「この日本では…クリスマスを勘違いしている者が多く居るのです。本来クリスマスとは夢見る子供達にサンタがプレゼントをあげる日。お利口さんにしていたら朝には靴下の中にプレゼントが入っているのです…。が、大人になった人達はクリスマスに何をしているのでしょうか…?」
「な、何をしてるのですか?」
「彼等はクリスマスに恋人とデートし、そしてその夜はセックスに明け暮れています。朝になるとコンドームの中に精子が入っているばかりでなく、子供ができちゃうところに精子が入っている事もある始末。いつの間にクリスマスはそんな破廉恥な日に変わったのでしょうか…?由々しき事態です」
「まさか…その人達を…始末する為に…」
「そうです。私はこの世に蔓延るリア獣を倒して、子供達にとっての本来のクリスマスを取り戻そうと思っているのです!」
「おぉぉぉぉ!」
よくわからないけどユウカ妹は凄い俺の事を尊敬しているっぽい。
「最初はこの服は白だったんだけど、リア獣の返り血を浴びる事で今のような真っ赤な色へと変わってしまいました…」
「はわわわわわ…」
「では…私はリア獣を狩りに行くので、失礼します…」
「頑張ってください!」
まぁ、ユウカ妹がサンタを信用しないとかいう事態は免れる事ができた。それだけは今回の収穫だよ、うん。
というわけで、俺は再びあの開けっ放しになってる屋根裏(中2階)への天窓の下に立つと、グラビティコントロールを作動させて天窓へと侵入し、そしてユウカの部屋へと戻った。
そして俺の私服に着替えて…。
廊下を普通に降りてリビングへ。
「どうもどうも、遅れちゃってゴメン」
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」
な、なんで驚いてるんだよ?
「び、びっくりした…サンタさんが戻ってきたのかと思った」
ナノカがマジで額に汗を浮かべて言う。
「サンタさん?」
「あんたが今ここに来る前にサンタさんが来たのよ!」
ユウカがマジで額に汗を浮かべて言う。
「凄かったのだ…」
ユウカ妹はグルグルに巻かれた布団から足を地につけて仁王立ちで俺に言う。その足はガタガタと震えている。
「かっこ良かったですわァ…」
と顔を赤くしてデレデレしながら言うのはメイだ。
「またまたぁ…サンタなんているわけないじゃん。みんな幻みたんだよ。あはははは〜面白いなぁ〜」
「本当よ!本当にここにいたんだから!っていうか、あんたサンタのコスプレで登場するはずでしょ!なんでここにいるのよ?!」
いや、さっき登場したじゃん…。マジでユウカはアレを本物のサンタだと思ってるのか…マジキチ…。
「サンタのコスプレェ?面倒臭いからやめた〜」
「ひぃぃいぃぃぃぃぃいいぃぃぃ!!!」
髪の毛を掻きむしりながらユウカがガタガタと震えてる。
「って言うことは、やっぱりあの人は…サンタクロース…」
とか言ってるワロタ。
「そんでどっから現れたの?そのサンタクロースって」
ナノカが天窓のほうを指さして、
「あそこからゆっくり降りてきたんだよ!」
「ほほ〜。なるほど…」って俺が天窓のほうをみたら、俺ってば開けっ放しで来ちゃったんだよね、今気付いたよ。取り敢えず締めとくか。と、俺はグラビティコントロールで天窓を締めた。
「「「ぎゃああああああああああ!!!」」」
な、なんだよぉぃ…。
「か、勝手に締まった!!」
「はわわわわわわ!」
「なんまいだぶなんまいだぶ…」
「や、やっぱりサンタさんはいらっしゃいますのね」
4人は完全に信じきってるっぽい。
まぁ面白いからこのまま種明かし無しで行こっと。
なんて思ってたらジト目で睨んでくる人が一名…。
ナツコだった…。