71 ネットウヨク 3

俺とメイリンはケイスケの家を出てからすぐにドロイドバスターへと変身した。
メイリンには飛行能力がないので俺が背中におんぶしてコーネリアの家まで送る事にする。
「すまないな」
「落ちないようにしっかりと捕まっておいてね」
「うむ、そうする」
と言い、メイリンは案の定、俺の背後からおっぱいにしっかりと掴まる。あと、息を耳の裏側に吹きかけてきたり、ぺろぺろと耳たぶを舐めまわしたり、おっぱいの谷間を作ったりとか。
「ちょっと…オキマリなパターンだけど、掴まるところはそこじゃないから。掴まりやすい箇所ではあるけどさ…。それと耳たぶ舐めるとか全然関係ないから。飛ぶのと全然関係ないから」
メイリンは渋々俺のウエストに手をまわした。
確かコーネリアの家ってアメリカ軍関係者の家が沢山あるところの一つだったっけな。俺が住んでる県には米軍の基地があって、そこの市内に米軍基地関係者の居住区がある。
それから小一時間ほど山を越え川を越え移動した後、コーネリアの家がある居住区へ到着した。
俺達は直感でまず最初に異変が起きてるのを検知した。
たぶん、その異変が起きてる近くにコーネリアの家があるんだ。
その異変とは…とある住宅の前に日の丸がペイントされた黒いバンやらバスが停められてた事だ。そして拡声器で周囲の窓ガラスが割れるような音量を出している。
アメリカ軍は出て行けーッ!」
という感じ。
よくよく考えるとこの主張もおかしい。何故ならアメリカ軍は出て行けーッ!って主張は普通の住宅地でやるものじゃない。やるなら米軍の基地でやるものだ。しかも住宅地の入り口でやるならまだしも、何故か特定の家の前だけでやってる。つまり、これは嫌がらせ以外の何者でもない。
車の周囲にはどう見てもヤクザっぽい姿の連中がタバコを吸ったりコーヒー飲んだり唾を吐いたり、通りかかる他のアメリカ軍関係者を睨んだり追いかけたりしてる。
本当に迷惑な奴等だ。
そしてまるでこれらの「迷惑」はこの家の住人のせいだから責めるなら俺達じゃなくてこの家の住人を責めろって言わんばかりの。
「ファァァァァーック!」
住宅の2階の窓が開いて誰かが叫んだ。よく見たらコーネリアだ。そしてすぐさま窓を閉める。どうやら俺の予測は当たってて、本当にコーネリアの家のまわりに集まっているっぽい。
「助けに行く?」
と俺はメイリンに言う。
「うむ」
と答えるメイリン
俺は急降下する。
でも、助けるっていってもなぁ、こいつらと戦うわけか。
などと考えていると、コーネリアの家のさっきの窓とは違うところから金髪ツインテールの変身したあとのコーネリアが飛び出したのだ。そして彼女は空高く飛び上がったと思うと、身体をくるりと回転させる。きた、きましたよ、コーネリアの必殺技、絨毯爆撃が。
あのツインテールの中からきらきらと輝く小型のミサイルが沢山飛び出したかと思えば、それらの光の粒は一斉にヤクザ達がたむろしている場所へと降り注ぐ。
(バババババババン!)
黒い爆風が道路を包み込む。
立て続けに。
たぶん、こりゃ逃げ場も無い。
「イィーーーーハァーーー!!!ダーイ!!ユー!マスト!ダーーーーイィィ!!!」
爆風に向かって中指を立てるコーネリア。
俺達が助けるまでもなかったね…変身後の彼女だから。そして、爆風で煙が立ち上って見えなかったけどそれが風で飛ばされた後は木っ端微塵に破壊された車とヤクザっぽい連中の死体しか残らなかった。それが終わってから、騒音に苦しめられてたほかの住民がぞろぞろと道路に出てきて、
「HAHAHA!!Yeah…Holy shit!!」「What the fuck!!Hahaha!!Ahhh…HAHAHAHA!!」「Die mother fucker!」などと口々に言いながら笑ったり怒りをあらわにしたりしてた。
なんというシュールな光景なんだ。
俺はコーネリアの近くまで飛行して近づく。
「Wow!キミカ!メイリン!何シテルノー?」
メイリンの家が吹き飛ばされて、あたしの家も刃物入りたこ焼きが放り込まれてさ、コーネリアに何か起きてないか見にきたんだよ。でもヘルプはあんましいらなかったみたいだね」
「ワタシガ自室デゲームシテタラ、ウルサクテウルサクテ。一体全体ナンナンデスカァー?」
「わからないよ。ケイスケ曰く、ヤクザだってさ。あたし達が前に校門前で他校の不良を撃退したじゃん?あの時にあの不良の仲間にヤクザの関係者がいたんだと思う」
「Oh!ジャパニーズ・マフィア!Cool!」
ぜんぜんクールじゃないよこの状況…。
やり方がネチネチしてるしさ。イジメ延長にあるようなアレじゃんか。俺は大破した連中の車を見ながら、なんとなく、このままじゃ根を絶たない限りは終わらないような気がしてきていた。
たぶん奴等は今まで以上に派手に嫌がらせをしてくると思うよ。