71 ネットウヨク 1

県内のよりすぐりのお嬢様が通うアンダルシア学園に他校の生徒(不良)が襲撃に来たという一件から数日後。
帰宅部の練習を終えた俺は家に帰ってテレビを見ていた。ちなみに帰宅部の練習というのは前にも話したけどいかにして早く家に到着するかどうかだ。今日の成績はまずまず。夕方、陽が落ちる前に家に到着した。
そして夜、21時ぐらいの事だ。
チャイムが鳴った。
「ん〜…誰だろ?」
俺はケイスケと居間でアニメを見てた。
「ハマゾンからの郵送ですかにぃ…。データディスクもアニメグッズは注文した覚えはないにゃん」
ケイスケは一度寝転がるとなかなか起きることが出来ないので、俺がしぶしぶ立ち上がってモニターで玄関の様子を拝見。って、メイリンじゃん。一体こんな時間に何なんだ?
玄関に向かい扉を開ける。
「うぉぉ!!」
そこで俺が見たものはボロボロの服になってるメイリンの姿だ。かろうじてその服がアンダルシアの冬服である事が分かる。でもまるでドリフのコントで爆発が起きた後のようなギャグみたいな格好だ。残念ながら髪の毛にはパーマはかかっていなかった。
「どしたの?」
と俺が聞くと、
「私のマンションの部屋、爆発した」
とか言ってる。
「中国の製品は爆弾以外はなんでも爆発するとは聞いていたけど…まさか中国人が住んでる日本製マンションの一室まで爆発するとは…これがチャイナクォリティーですか(白目」
「違う…」
「まさかコーネリアと喧嘩したとか?」
爆弾といえばコーネリアの十八番(おはこ)だ。喧嘩の果てにキレたコーネリアがメイリンの家に爆弾を送りつけてもそのシチュエーションには違和感が無い…。
「喧嘩してない。けど、コーネリア嫌がらせ思って奴に連絡した。違うみたい」
「ま、まぁ、とりあえず、あがりなよ」
居間に通すと案の定、ケイスケが大喜びしてメイリンに抱きついた。普段ならそんな事をすれば足払いで地面に転がされた後、「白豚!」と罵られながら叩かれまくり、いつの間にか全裸になったケイスケを見ながらメイリンが興奮して股の間からイヤラシイ液体を垂らすような展開なんだけど、今日はメイリンはそんな気力がないみたいだ。
「シャワーが浴びたい」
メイリン
「もちろんいいですぉ!!お兄さんも入りますにゃん!」
おいおい…。
でもメイリン無反応。そのままケイスケに案内されてお風呂へとGOしてしまった。
しばらくしてからシャワーを浴び終わったメイリンがナツコこの下着やパジャマを借りて登場した。俺のはサイズがちょっと小さいからな。
「ケイスケは?」
「風呂で血流して倒れてる」
まるで殺人事件の一幕みたいだな。やっぱり鼻血で倒れましたか。まぁ、それは置いといて…一息ついたところで俺はメイリンに何が起きたのか詳しい事情を聞いてみた。
「よくわからない」
「ほうほう…」
「郵便ポストの中に入ってた小包開けたら、爆発した」
マジで…。
「よく死ななかったね」
「寸前で変身した。少し防げ無くて火傷したが、今は回復」
「すげぇ…」
それにしても誰がそんな危険な小包を送ってきたんだろ?
メイリンが恨まれるような事があって、それでいて爆発物を所持してそうな人間。俺の脳裏には少なくともアンダルシア学園の生徒は思い浮かばなかった。コーネリアも違うっていう話しだし。っていうと、やっぱりあの左翼団体のボスであるガッチガチ悪役設定のスカーレットなのかな?そもそもメイリンもあっちよりだしな。
「心当たりはあるの?」
「ない」
「スカーレットに敵対する組織とか」
「スカーレット?私、あいつの仲間じゃない」
あら、違うのか。
「スカーレット、日本に来る時、手引きしてもらっただけ」
「へぇ〜…」
誰なんだろうな、なんて思いつつもテレビに目が行き、気付けば俺もメイリンもテレビを見ながらアイスを食ったり、インスタントのスパゲティを食べたりもしていた。