52 賢いお金の使い方 5

放課後。
俺はメイリンとコーネリアを連れてお金を沢山使える場所である市内の「ゲームセンター」へと向った。
ギャンブルは俺が生まれた頃には個人では行う事を廃止され国営化された。各市町村でギャンブルが行える場所を設けてそこで色々な賭け事が行える。例えばカジノにあるようなルーレット、バカラ、ポーカー、スロット…それから競馬、競輪などの日本で元々あったものからパチンコなど、今まで個人で運営されてたものがある場所。
これがゲームセンターと呼ばれてる場所。
呼び方は他にも色々と市町村別にあるけども、俺のいた学校では「ゲーセン」って呼んでた。そしてこの一色集中型のギャンブル会場は運営は各市町村で、警備が警察の管轄。学生でも学校によっては学生証があればカジノで遊ぶことも可能だ。
さて、そのゲーセンにバカ2名が来る。
長いリムジンから降りてきたのはごく普通の制服姿の俺、それから続いてドレス姿のどこかのご令嬢のようなコーネリアと、売れない芸人のような金ピカの制服を来て車を下りてくるのがメイリンである。
俺は時々通るバニーガールのケツを目で追いながらもバカ2名からは目を離さないようにしていた。コーネリアもメイリンもルーレットに目を付けたようだ。
「パチンコとかスロットはやらないの?」
と聞くと、
「アレは賭けに勝っても勝ったような気分になれない」「ナンデスカー?意味ガワカリマセーン」などと言っている。どうやらルーレットで面白いのは賭けに勝ったときにあのプラスティック製のコイン?みたいなのを沢山貰えるのを「周囲の連中が見てる」ところがいいらしい。そしてなにより今の彼女等は賭けに使える金をたんまり持っているわけで、つまり他の貧乏客よりも燃料が多いことを意味する。
人混みをかき分けて出てきたのが金髪の可愛い女の子とあれば、周囲の人間も注目する。日本のカジノに居ながらにしてラスベガスにでもいるような気分になる。そして対する位置に立つのはメイリン。こちらもちょっと違和感はあるものの、バカみたいな衣装を来て周囲の注目は集めている。人混みをかき分けるには丁度いい。ルールはいまいちよくわかんないけど、自分が好きな数字を最初に決めて、掛け金を決める。そしてルーレットの上を玉が回って、もし自分が決めた好きな数字に玉が入ったら勝ち。勝ったら他の人が掛けた金を貰えるらしい。
俺は2が好きなので2で決めるか。
そしてコインを出す。
と、そこで、俺の前でコインの山が動いた。その山があまりにも大きすぎて、俺に襲いかかってくるように錯覚してしまって俺は思わず後ろに転げる。しかし、それはやはりただのコインの山。そしてその山を動かしたのはメイリンに他ならなかった。なんというバカだ。一気に掛けてきやがったぞ。周囲の連中が沸き立つ。そして「おおおおおおお!」と歓声を上げる。
「掛けるのは…10だ!10が私が好きな数字」
メイリンが言う。
それを見たコーネリア。すぐに調子こく性格と負けず嫌いの性格、それから超適当な性格が災いしてか、メイリンをも凌ぐ大量のコインの山をそこに作り上げて、「ごごごごごごごごごごごごごごご」という音が似合いそうなほど巨大なコインの山が動いた。周囲の連中が沸き立つ。そして「おおおおおおおおおおおおおお!」と歓声を上げる。
なんだかちょっと俺の掛けた3枚のコインが情けなくなってきた。なんて目立たない地味な掛金額なんだ。
「Oh…奇遇デスネ。私モ10ガ好キデース」
とコーネリアが言う。
最後にニタァとした。
ったく…何分の1の確率だと思ってるんだよ。バカはこれだから。それで当たるわけないじゃん。もし当たったら俺が全裸で逆立ちしてそのままおしっこを周囲にまきちr
…。
…。
…。
「当たった…」
「Ahhhhh!!!Yeeesss!!Yes!Yes!」
叫ぶコーネリア。
「(中国語で何か叫ぶ)」
叫ぶメイリン
やべぇ、やべぇ!俺はまだ「おしっこを周囲にまきちらす」とか完全に考えてないからセーフだ。もしこれが俺の脳内で言い切れていたら大変な事になってたぞ!(脳内ルール)
まさに「バカ」力。何も考えてないせいか運がやたらと言い。
俺の目の前でコインの山がさらに大きくなった。凄い。こんなの映画でしか見たことがない。俺もやろうかな?
俺はそこでゲーセンで働いてる店員さんに(あたしもやろうかな?どうしようかな?)的な仕草をしていた。目を見たり目を離したり財布の中を数えてみたり、お金を出しては引っ込めて(あああああ!どうしよう!)的な状態をアピール。でも最後はやっぱりやめたけどね。ダメダメ、ギャンブルは身をダメにするよ。