52 賢いお金の使い方 4

昼。
「ちょっとキミカ…あの二人をなんとかしなさいよ」
「…あたし、あの二人の保護者じゃないし…」
ちなみに「あの二人」というのはメイリンとコーネリアに他ならない。二人は食堂では学生証だけで食事ができ、しかも食べ放題で少しでも高価な食事がない事に憤慨していた。
「この店、客を馬鹿にしてる!」
「モット高イモノガ食イタイデーッス!」
バカがいる。ここにバカがいるぞ。
メイリンは眩しすぎて窓側にいると陽の光を反射して室内にどこかを焦がしてしまうので部屋の最も暗い場所に強制的に座ることになった。
その際にも「金ならある!」とか「一番いい席に!」とか言ってたけど、教師が来て強制的に暗い場所へと連れて行かれた。それでも眩いばかりに輝くメイリンは一番太陽の光が届かない場所に光を届けていた。
コーネリアはコーネリアで、バイキング形式の昼食にも係わらず執事のセバスチャンらしき男を働かせてバイキング料理を一つ一つお皿に盛らせてまるでイタリア料理のコースでも味わうかのように、一つ一つ持ってこさせた。
そして料理がとても美味しいと感じると多分英語で執事のセバスチャンに対して「この料理を作ったコックを呼んできて」などと言っていたのだろう。しばらくすると学食を作るおばちゃんがやってきて、「なに?何の用事?」と言っているのに対して英語で(多分)「すばらしい!ぜひあなたを私の屋敷のコックに雇いたいわ」とか言ってたんだろう。まぁセバスチャンらしき執事がそれを日本語に訳すとおばちゃんには「お断りよ!」と返されてたけど。
俺とナノカとユウカはあのバカの2名に関わらないように席は離れて座ったが、メイリンの着る衣装はキンキラキンで光り輝いてて俺達の目を失明させようとするし、コーネリアは俺達と同じものを食べてるのにも係わらず「これは実にすばらしい料理よ!」的な事をセバスチャン経由で俺達に言ってきたりと、本当に面倒臭かった。
「あの二人本当にウザイわね…」
ユウカがそう言う。
「まぁ今だけだと思うけどね。ほら、ああいうのってお金が無くなったらさ…」と俺。
「貯金するとかそういう事は考えないのかな?」
「考えないんじゃないかな〜…」
あの二人は貯金って概念は無いと思う。
などと俺が話してると、セバスチャンらしき執事が俺の席の上に飲み放題のジュースを一つ置いた。いや、俺、既にジュース飲んだんだけど。すると、
「あちらのお客様からです」
うわぁ…バーのナンパだよ。しかも飲み放題のジュースでナンパだよ。
俺がジュースを取ると、
「(ニコッ)」
とコーネリアが俺のほうを見て微笑む。
しかたないので俺もそのジュースを少し上に上げた後、
「(ニコッ)」
と微笑み返す。
なんなんだよ!
…そして放課後だ。
放課後。
「ヘイ!キミカ!」
コーネリアとメイリンが俺に話し掛けてくる。
今度は何だ!
「モット沢山オ金ガ使エルトコロハナイノデスカーァ!」とコーネリア。
「贅沢、味わいたい」とメイリン
「貯金したらいいじゃん」と俺。
「な」「What…?!」
俺の言葉にメイリンもコーネリアも固まる。
「な、なんだよ…」
「キミカハバカデスカァ?」
とコーネリアは俺の頭を持ってブンブンと振る。
「な、なんだよ!なんで貯金する事がバカなんだよ!」
「貯金しても、満足、得られない」
「将来の為に貯金するんだよ」
「なんの為のお金か」
何のためのって言われても…。
「オ金ハ使ウ為ニアルノデーッス!」
そりゃそうだけどさ。
「あー、それなら、面白いのがあるかもね」
「ナンデスカー?!」「何だ?!」
「賭け事。ギャンブルって奴?」
「Ohhhhh!!!Yeeeaaaaaaahhhhh!」
ガッツポーズをするコーネリア。
「ククク…この金がまた増える、笑いが止まらない」
メイリン
そりゃ賭けに勝てばの話だけど…。