51 メイド・イン・ヘヴン 6

さっき酢豚をお腹いっぱい食べたせいか俺達はぐっすりと眠っていた。毒が入ってはいてもそこは酢豚だ。強靭なドロイドバスターの肉体は毒をも糧にしているようだった。
俺は何故かコーネリアにコツンコツンと蹴られて起こされた。
「んん?まだ夜じゃんかよ…」
「Hey…」
見ればメイリンも立っている。
「なんだよ…もぅ…」
周囲に気配がある。
月の光に照らされて、俺達の周囲に何がいるのか分かった。
メイドアンドロイド達。
俺達は囲まれていた。
「…乱交パーティー?」
そのメイドアンドロイド達の背後から足音が聞こえる。
「誰の指図で来たのかしら?」
この声はメイド長…か?
「まぁ、どちらにせよ、秘密を知ってしまったからには生かして返すわけにもいきませんからね。本当に貴方達は感が鋭いのねぇ。調味料の中に仕込んでいた毒に気づくなんて、普通の人間の味覚ではわからないはずなのに」
金魚鉢の金魚で毒を検証したのを放置したままにしてたんだ…あー、やっちまった。それでコイツのバレたのか。やっぱりコイツが犯人?でもなんで?
「動かないほうが、楽に死ねますよ?」
メイドアンドロイド達は一斉に腕を突き出して俺達に向ける。これは仕込みボウガン?か。
…まぁどのみち…。
俺達に対して「殺意」を向けたのが運の尽きって奴かな。つまり、これで俺達が暴れる動機が出来たわけだ。
俺とコーネリアとメイリンは同時にドロイドバスターへ変身した。
と、同時に、一斉にアンドロイドがボウガンのボルトを放つ。
こんなのは銃弾よりも遅い。
止まって見えるぜ?
俺は目の前の止まっているボルトをブレードで弾き飛ばす。背後ではメイリンが矛でボルトを弾き飛ばす。戦闘開始1秒で敵の第一波の攻撃を防ぎ、
「Bomb!」
というコーネリアの一言の後、小型ミサイルがメイドロボットの頭を吹き飛ばす。生き残っていたメイドロボットはメイリンに首を跳ね飛ばされ、俺に蹴り壊され、八つ裂きにされた。
戦闘開始3秒で周囲のメイドロボットをヘヴンに送った。
「ひ、ひっぃぃいいい!」
メイド長…いや、ババアが逃げる。予想外の展開に本当的に悲鳴を上げながら暗闇でも「私はここにいる」と周囲に知らせながら逃げる。
まぁこれも止まって見えるんだけどね。
メイリンは半回転でステップをつけて前に進み出ると、矛を草でも刈るかのように薙ぎ払ってメイド長の両足を切断した。
「ああ、あ、あ、足が、足が!!」
「手足、切り落として豚小屋、放り込む!」
それなんて西太后…。
一方で、俺は床に転げたメイド長、いや、ババアの上に跨ってブレードを首元に置く。それから、
「動かないほうが、楽に死ねますよ?」
と一言言って、ゴルフでもするかのように首をぶち斬る素振りをする。
「ま、待って!待って!私は頼まれただけ!!」
「誰に?」
「相沢さんよ!」
「誰?それ」
「相沢仁…この屋敷の主人、相沢眞一郎のご子息よ」
俺もメイリンもため息をついた。
予想した通りになった。
嫌な予想通りに。