49 体育倉庫で二人っきりで… 5

メイリンはまるで生まれたばかりの小鹿のようにブルブルと足を震わせて尿漏れの感覚に耐えている。
是非とも頑張って貰いたい。俺はスカートやらパンツやら太ももにしっこをかけて貰いたくない。というか自分のおしっこが掛かるだけでも軽くパニックなのに他人のおしっことか耐えられない。そんな学生生活の思い出はいらない!!
「が、がまんできない」
「いやいや、メイリンさん、キミならできるよ!」
「我慢というのは、尿道を筋肉で締めて我慢する、違う」
「へぇ〜…違うんだぁ…」
って違うの…?
「おしっこ、キミカに、掛けるいう欲求の、我慢」
「欲求との葛藤かよ!!」
誰か来てくれ!!誰か!!!
尿が…。尿が襲ってくるよぉぉ!!
と、その時だった。
体育倉庫のドアが開く音が聞こえたのだ。俺はそれが天使での到来したかのような感覚にすらなってしまった。
その天使さんの視点になって想像するとだね…ドアを開けて部屋を見回したらあからさまに荷物が…いや、機材が散らばっているから一体何が起きたのかと驚く。そして「もしかして:中に人が?」って思うはずだ。驚いて近寄るはずだ。そこで俺が叫ぶ。こりゃ大変だと驚く。そして救急車を呼んだりとか重機を取り寄せたりとかして機材をどけてくれるはずなのだ。
「Anyone there?」
げげ、この声はコーネリア。
「げげ」って思った理由はこうだ。
コーネリアは俺の想定した通りには動かない。
…。
…。
…。
以上。
「コーネリア!!」
俺が叫ぶ。ちなみにメイリンは声を押し殺している。あーつまり、あれです、もう声だしたら弾みで漏れちゃう的な状態?
「Wow!」
ん?何か、ギシギシと動くぞ。この機材。
いや、コーネリアが機材の上に乗っている!
何やってんだこの野郎!
そこに乗るか普通?!
「コーネリア!コーネリア・マクリントック!!」
「ゴースト?」
違う!ゴースト違う!
「あたしだよ!キミカだよ!!下!下に埋まってるの!」
「Oh…God…」
「早く助けて!」
「キミカガ、ココニ埋葬サレt」
「なんでやねん」
間髪入れずに突っ込む。
「コンナトコロデ何シテルノー?」
なんかすっごいマヌケな発音で聞いてくるコーネリア。この沢山の機材を挟んで上と下で全然空気が違ってなんかムカつくなぁ。
メイリンのバカが積み上げてた機材を崩したんだよ!そんで機材の下敷きになってて、グラビティコントロールも使えないし…。助けて!5秒以内に助けて!いや2秒以内に助けて!!」
「Hey、WaWaWaWait…Hold on…」
「なんだよ〜?(涙」
「私モグラビティコントロール使エマセン…」
「はぁ?」
「コンナ重イモノ持チ上ゲラレマセーン!」
あれ?俺なら変身した後にこんなの軽々と持ち上げられるんだけど…。
「変身しても無理?」
「モチノロンロンデスー」
ヌゥゥ…。
どうやらコーネリアが扱うグラビティコントロールは俺と同じタイプではないらしい。ケイスケが言うように俺よりも低いスペックになっているんだな。
その間に割り込んでメイリンが叫ぶ。
「役立たず!!腰抜け!!ウジ虫!!お尻かじりクソ虫!!」
「流石にそれは言い過ぎじゃんか…」
…。
なんかシーン、ってなってるんだけど。
おい、怒らせてない?
「ヘェェェーィイ…チャイニーズ…」
おいおいおい、怒ってるよ。
「三度ノ飯モ仏マデデース…人ニハ我慢ノ限界ガアリマース…今ノ訂正シテクダサーイ…ジャナイト…」
ほら、キレた。やっぱりキレた。
「何か」を置いてる音が聞こえるんですが。コーネリア、何を置いてるの?置いた時に「ピピピッ」って音がするんですが、それ何の音?
「私ヲ怒ラストォー(何かを置く音、それからピピピッ)、体育倉庫ガァー(何かを置く音、それからピピピッ)コノ『プラスティック・ボム』デ(何かを置く音、それからピピピッ)爆発シマーッス!!!(何か…いや、プラスティック・ボムを置く音、それからピピピッーッ)」
おいおいおいおいおい!!!
「何やってr」
俺の目の前が光り輝いた。
爆風。