47 これが日本のBUKATSUです 2

「ところで、お二人は部活は何に入るか決めてるの?」
ユウカが質問する。
「私、決めてない。入らないとダメか?」
「…んじゃ帰宅部?」というナノカの質問に対して、
帰宅部?それ、何の競技か?」と質問を返すメイリン
ここは帰宅部歴4年の帰宅段4段の俺が説明いかしかないな。
帰宅部っていうのは部活に所属していない人を指すのが一般的だけど、それはただたんに学生生活を楽しめてない寂しい人達を指すわけであって、真の帰宅部部員というのはちょっと違う。部活に所属しているの。部活に所属していながら、学校が終了と同時にいかにして早く、そして邪魔が入らないように、華麗に家に帰宅できるかを競うもの。例えばその日の放課後の委員の仕事だとか先生の手伝いだとかそういう時間外のスケジュールが用意されているのなら、事前に念入りにスケジュールチェックをして可能な限りに昼休みとかを利用して放課後に何かをするような事を無くさなきゃいけないし、例えば部活内の先輩や後輩、または同級生から『今日は練習はどうするの?』などと邪魔が入ったりして足止めを喰らうとそれだけで減点。華麗な帰宅部erならいかにして同じ部活の人間に見つからないように帰るか、事前に何度も頭の中でシュミレーションしなきゃいけないし、想定外のハプニングが起きた時にそれを回避できる鍛錬もつまなきゃいけない。ちょっとしたアイデアやひらめきも必要だし、クリエイティブな思考も持たなければならない。そして帰宅途中にちょっと借りてるCDをかえそうとか、お菓子を食べながら帰ろうとか、友達の家で遊んでから帰ろうとか、そういう寄り道に対する欲求も切り捨てなければならない。それは帰宅部精神に反するからね。帰宅部はまず家に帰る。そしてそこから出掛ける。これは頭の切り替えをちゃんと出来ている事を意味するの。家に帰るまでが帰宅部。そして、それが出来るのが優秀な帰宅部員なのです」
「その気合いを部活に使いなさいよ」
さっそく野次が入る。これはユウカの野次ね。
ったくこのバカは本当にアリキタリな事しか言わないな。「その気合いを部活に使いなさい」ってもうデフォすぎるでしょ。ツッコミがさ。あーいうと思ったって思ったら案の定言ってきて面白くもなんともない。本当に面白い奴はそこからさらに面白さを広げてくるものなんだよ。「そっちが帰宅部なら私は登校部になるわ!」とかさ。
帰宅部、大変、違うか?」と言うふうにメイリンの感想が返ってくる。よってここで俺はすかさず、
「その代わりに自由を味わえるのさ」
とキザなセリフで締める。
「コーネリアは何の部活がいいの?」
何を望んでるのかユウカはコーネリアに目を輝かせながら尋ねる。そもそもコーネリアはユウカが期待しているような英国出身の貴族風な人間ではなく、アメリカ出身のフランクな人間なんだけど。やっぱりビッチはそういう区別がつかないんだよな。ヨーロッパも全部イギリス、アメリカも全部イギリスだと思ってるふしがある。
「私ハ、日本的ナ部活ガシタイデーッス!」
「日本的!剣道とか柔道とか?」
多分今のユウカの脳裏には金髪の女の子が健気に柔道や剣道をしている様子が浮かんでは消えているのだろう。絵になるからなー。マスコミもこぞってそういうのを見せるからさ。
「じゃあさ、放課後部活の見学に行こうよ〜」
とナノカが誘う。
俺はすかさず、
「あたしは今日は用事g」
「アンタも来なさいよ!」
早い。凄まじい早さで間髪入れずに俺の伏線を塞ぎやがった。
「キミカ、今のは減点か?」とメイリン
「減点です…」
帰宅部員として恥ずかしい減点1です。