46 プレイガールとムッツリーニ 3

中国語訛りの日本語はもう確実にメイリンが中国人であることの証拠に違いなかった。クラス中がヒソヒソ声に満たされる。
「ま、まぁ、仲良くするにぃ。イジメはよくないにゃん」
さすがにイジメられてた過去があるケイスケもイジメターゲットが中国人ともなればフォローも難しいと見える。そこで俺はケイスケをコツンとつついて「(先日瀬戸内海で戦ったの覚えてる?メイリンだよ)」と小声で教えてあげる。
「えぇぇ?!」と派手に驚くケイスケ。
それからメイリンと俺の顔を交互に見ながら、
「でも、ぽ、ポニーテールでしたにぃ?」
「(髪型変わってるだけじゃん…)」
メイリンは顔を真っ赤にしてクラスメート達を睨みながら、
「イジメ、よくない、イジメ、よくない。クソ虫ども」
と、いじめないで欲しいのかいじめて欲しいのかよくわからない言葉を並べる。
そういえばメイリンの制服だけ変だ。
夏服は前にも言ったように、上はブラウスに毛糸のベスト、下はスカートとルーズソックス。しかしメイリンが着ているのは上はブラウスだけで下はスカートと冬用のニーソックス。いや、ニーソックスでもないな。レースが入っているストッキングか?まるで有り合わせのものを集めて制服にしたみたいだぞ。
「ヘイ!メイリーン!!コノ制服ハ何デスカー?!」
さっそくコーネリアがツッこむ。
メイリンの制服のブラウスをまるで汚い物でもつまむように引っ張り上げるコーネリア。それから手を離して「Oh…」と言った後に触っていた指をゴシゴシと自分のスカートで拭く。
調子に乗って、今度はスカートを摘まみ上げるコーネリア。面白そうなので俺も参加する。
「貧乏だから有り合わせのもので制服作ったんじゃないの?どうなんだよ?答えてごらん?」
「Oh!ビンボー!!ビンボー!!!リンボー?」
コーネリアはスカートをつまみあげてメイリンが履いてる黒の下着をチラチラとクラスメートたちにお披露目させる。俺はブラウスの第一ボタンを指で外してから同じく黒のブラと白い胸の谷間をクラスメート達にお披露目させる。どんどん顔を真っ赤にするメイリン。いや、顔が真っ赤になっただけじゃなく、虚ろな目で遠くを見つめて涎を垂らしてる。
「はぁはぁ…許して、クソ虫ども」
へ、へんたいだーー!!!
へんたいがいるぞー!!!
そんな様子を同じ様にはぁはぁと声を出してみていたのはケイスケ…。
「き、気に入ったですぉぉぉ!!!」
「うわぁ…」
「先生は変態さんが大好きなんだにぃぃぃ!!」
メイリンに抱きつこうとするケイスケ。その刹那、メイリンはどこから出したのか、例の戦闘時に使っていた矛のような武器を引っ張り出すとケイスケの正面で派手に降る。俺やコーネリアでしか見抜けないぐらいの超高速での斬撃。ケイスケの服がバラバラと散ってあっという間に全裸になる。そしてギリギリでケイスケの首もとに命中しそうなところを俺がブレードで受け止める。
「どけ、キミカ。和豚、殺す」
「おっと、武器をしまいなよ、興奮するともっと濡れちゃうよ?」
などと俺が挑発。
こいつも俺と同じく武器リストみたいなのがどこかにあってそこに収納してるのか?メイリンは「ちっ」と舌打ちすると武器を締まった。
メイリンはそれからケイスケを「ビッ」と指さしてから、
「先生、私、パンツ、履き替える」
そう言って教室を出て行った。
濡れてたらしい。