46 プレイガールとムッツリーニ 2

これはどう考えても仕組まれている…。
スカーレットは実は議員だ。国会議員であるからある程度権力があるだろうし、学校に無理やり外国人を、しかも中国人を転校させる事も可能だろう。ちなみに言うと、日本と中国、朝鮮、ロシアは今でも戦争中。いや、休戦中であるから、その国の人か、または言語がその国の人であればそこそこの問題にはなる。スカーレットがそこを無理に押して外国人留学生として通す事は相当なリスクを負っているんじゃないか。そうまでして転入させて何か意味があるのか?
まさかとは思うけどケイスケもあの戦闘シーンは見ていたはず。あの時はポニーテールだったが、今はストレートにしている。しかし、顔はどう考えてもメイリンだ。わからないはずはないと思うんだけど…。
俺はケイスケを睨んで、(ちょっと、どうなってるのよ?)って目配りをしてみた。しかしケイスケはそんな俺を見て、
「な、なんですかぉ?き、キミカちゃん、『後で二人きりでエッチな話をしましょう』的な目は…フヒヒッ」
どうやったらそう勘違いするのかな〜…。
ケイスケは腰をくねくねさせながらもじもじしている。
みかねたユウカが一言、
「先生、転校生の紹介ですよね?」
「あぁ、そうだったのですぉ。えーっと、本日から我がクラスに入隊する事になりました、アメリカからの留学生、コーネリア・マクリントックさんと、日本からの留学生、田中直美さんです」
で、俺は椅子から転げ落ちてパンツを露出するハメになった。
「キミカちゃんはズッコケのセンスがありますねぃ」
「『日本からの留学生』って何ですか先生ィ…」
俺はクラスの男子どもと担任のケイスケ先生の視線がパンティーに集中するなか、スカートでそれを隠してから体勢を立て直しながら言う。
「えっと…大阪民国からの留学生で、」
「まてーい!」
俺はずかずかと前まで歩みでるとケイスケが持っているパッドを取り上げて名簿を確認する。そこには留学生2名の写真と国籍、名前が書いてある。一人はコーネリア・マクリントック。もう一人は…。
大阪民国、田中直美さんだとゥッ?!」
俺はパッドを割って壊さないように教壇へ置いた後、とりあえずズッコケてみた。
「なんでアンタ律儀にズッコケてるのよ?」とユウカがツッコむ。
立ち上がろうとしたところでもう一回ズッコケてみる。
コーネリアも何故か一緒にズッコケてる。
「2回ズッコケた!つまりツッコミどころが2個あるという事?キミカっちぃ?!」
さすがナノカ。
俺が言いたいことを理解してくれてる。
「一体どこにツッコミどころがあるのですかぉ?」
「まず大阪民国という国は存在しません…(白目」
「えっと…では何阪民国が存在するのですかぉ?」
「だから大阪は日本だよ!」
「ええー!!同じ日本人でこうも異なるとは…!!」
もうズッコケるのは疲れたからこれにはツッコまない。
「えっと…それから、大阪から来たわけじゃないという事は、どこから来たという事ですか?」
「国外?」
「そうそう。つまり、田中直美さんも偽名です。絶対に偽名です」
俺は裁判中に弁護士が「異議あり」と言うような雰囲気でビシッと黒髪ストレートの美少女であるメイリンを指さして言った。
クラスの視線がチャイニーズ、メイリンに集中する。
大阪民国から来てるって言うんだったら流暢な関西語が話せるんだよね?どうなんだよー!!」
その俺の台詞の後、クラス中でヒソヒソ声が上がる。
そしてメイリンは「黙っていれば日本人」と思われるのを期待してたのだろうか、口を閉ざしたまま、緊張のためか顔を赤くしている。
「どうなんだよ!関西語話せるの?」
と俺が責める。
「黙ッテチャ分カラナイダロウガー!ンー?」
コーネリアも責める。
…。
それから30秒が経過した後、
大阪民国から来た、私、田中、よろしく、ニーハオ」
俺とコーネリアはタイミングを合わせてズッコケた。