45 コンセプトモデル 4

俺はこれが助けるチャンスかとコーネリアに向かって飛んでいくが、表情だけ見るとニヤニヤとしている。もしかして…。
俺が予測したとおり、コーネリアはミサイル5発を引き連れたまま、アメリカの駆逐艦まで飛んでいくとそのまま水中にチャプンと消える。あまりに急角度で下に潜ったもんだからミサイルはそのまま駆逐艦に命中、5発分の対空ミサイルが命中すればバリアを貼っていても致命的だ。甲板から爆風が上がるのがバリアが消えた証拠だろう。
「イィィィィィーーーーーハアァァァァァァァァァァーーーーー!!!」
駆逐艦の反対方向から水しぶきを上げて海面に飛び出てきたコーネリアから発せられた声は歓喜極まる叫びだった。そしてそのまま中指を駆逐艦に向かって立てる。
これが身体を張ったヤンキーのジョークなのか…胸が熱くなるな
ここぞとばかりに貨物船からの対艦ミサイルがガンガン水面ギリギリを飛んできて駆逐艦に命中する。バリアを再び貼り直して辛うじて体勢を保とうとするが、戦闘不可能と判断したのか煙を上げながらアメリカの駆逐艦は撤退していく。そしてそれに向かって手を振っているコーネリア。そして彼女は、
「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!ゴーホーム!!」
と言ってから投げキッスを駆逐艦へと送った。
すげぇ…。
「ヘイ!ドロイドバスター!邪魔者ハ消シマシタ!!マタ一緒ニプレイシマショウ!」
お、おい…。
再び俺とコーネリアの貨物船に対する攻撃が再開される。
もうアレだね、弱った奴に止めを刺すって言うのかな。さんざんコーネリアがミサイルでバリアを削ぎ落したせいで貨物船はバリア無しでむき出し状態。弾まで尽きたのか船員がライフル持って甲板に出てきてコーネリアと俺を撃ち落とそうとしてる。こいつらには降伏って概念は無いのか。
戦闘行為をやめない以上、俺もコーネリアも武器を持っている奴を攻撃するしかない。俺は水面ギリギリを飛びながら、波の隙間からレイルガンで甲板の上に出てきてる船員を撃った。コーネリアも『拿捕する』という日本軍からの要請を聞いているのだろう。さっきは大型のミサイルを放っていたような気がするけど、今は小型の虫ぐらいのサイズのミサイルをバンバン放って甲板にいる人間を攻撃。ただ、やたらと船室のほうを狙っているのは船長でも殺そうとしているのだろう。
ようやく拿捕する為に海保と南軍の高速艇が近寄ってくる。
俺もコーネリアも武器をしまい、空からそれを観察する。
「ヘイ、ドロイドバスター」
「キミカで良いよ」
「キミカ!ナイスネーム!キミカ!私ハ今度日本ニ住ミマース!」
「あぁ、そうなんだ。お仕事で?」
「ノー。私ハマダ学生ナノデース!」
「へぇ〜。あたしとおんなじだね」
って、学生が軍隊に入ってるのか。
「実ハ、前ハハワイニ住ンデタノデスガ、拉致監禁サレテ改造人間ニサレタノデースッ!今ノコノ姿ハ変身シタ後ノ姿ナノデス…」
「なんか仮面ライダーみたいだね」
「Oh!仮面ライダー!!ジャパニーズノ特撮ハ面白イデスネッ!」
変身…やっぱり俺と同じタイプだ。いや、スカーレットも変身してるわけだから皆概念は同じなんだろう。コーネリアも俺の事も聞かされてるのかな?
その時、さっき拿捕をしていた貨物船から炎が上がる。
爆発?
海保も軍も何かに向かって発砲してる。まだ戦闘行為を続けようって奴がいるのか?
爆発した後、水しぶきが上がって船から小さな飛行体が水面スレスレを飛んでいるのが判る。
って…。
人かよ!
俺が見たのは明らかに人。
俺やコーネリアと同じで改造された人間だと思われる。
何故ならそれは女の子で派手なチャイナドレスを着て矛か槍か、そんな武器を持っているから。そういうコンセプトで作るっていうのは変身もののアニメにありがちだからだ。つまり、アレも絶対に俺達と同じで何か萌え的なものを意識して作られているはずだ。
「Oh!面白クナッテキマシタネ!」
コーネリアは急降下してそのチャイナドレスの女の子を追いかける。俺もそれに続いた。と、次の瞬間、俺が見たものはコーネリアの顔面に思いっきりパンチを喰らわせるスカーレットの姿だった。