45 コンセプトモデル 3

『どうやらセカンドチルドレンと接触したようだな』
なんか久しぶりにマダオの声を聞いたような気がする。そしてその懐かしさを感じる前に感じるのがウザさ。なんだよセカンドチルドレンって…またアニメかぁ?
『えっと…もしかして、あのアメリカ人の事を言ってる?』
『そうだ。彼女が惣流・アスカ・ラn』
(ブチッ)
通信を強制切断した。
コーネリアだって言うてんねん。
そのうちエヴァだとかムヴァだとかノヴァだとか言い出すに決まってる。ああいう中二病は事あるごとに現実のストーリーをアニメの中に重ねて考えるからなー。ほんとうぜー。
しかし。…なるほどナツコの言っていたとおりコーネリアは俺の姉妹のような感じなのだろう。俺はケイスケが開発(改造)したものでコーネリアはナツコによって開発(改造)された人間。なんとなく黒を基調としてるドレスも俺の戦闘服も姉妹っぽく見える。
「ユー!マスト!ダーーーーイ!!!」
急降下したコーネリアは水しぶきを上げて海面に着地、そのまま真っ赤なミサイルを水しぶきの中から発射しまくる。それらは魚が水面を走っているかのように白い線を背中に引っ張りながらさながら魚雷のように貨物船に向かっていく。
貨物船も対艦砲を水平射撃してくる。コーネリアのバリアを削ぎ落とそうとする。
そこへ俺が間に入って砲弾をブレードで真っ二つにする。真っ二つにされた砲弾は俺とコーネリアの左右で水しぶきを上げて爆発する。
「Oh!ニンジャ!!」
俺の刀の持ち方か。確かに侍の持ち方では無いね。
そのまま水面すれすれを走って貨物船の周囲を円を描く様に飛ぶ俺とコーネリア。自動追尾の対艦砲であってもウロチョロと飛んでるコバエのような俺達には命中させずらいようだ。
その時、コーネリアが何やら通信しているようで、英語で「抗議」してるような感じだ。それから俺にもミサトさんから通信が入った。
『キミカちゃんは手を出さないで、って米軍から要請があったわ』
『え?何それ?』
『よくわからないわ…試験機のその女の子はテストを兼ねてるから、キミカちゃんが戦ったらデータを取りにくくなるのでやめてって、言われたわ』
『それじゃ最初からあたしを呼ぶなっていう…』
『いえ、米軍からの要請だから』
『めんどくさ!』
「ヘイ、ドロイドバスター。私ノテストヲ兼ネテルラシクテ、一人デ戦エトイウ事ラシイノデーッス…残念デーッス!」
「オーケー…」
『やばかったら助けてもいいんでしょ?』
『確認をとってみるわ』
しばらく待った後、
『そうね。その時は助けて欲しいそうよ』
まぁ、普通の軍隊を相手にだとコーネリアが勝ちそうではあるけどね。俺が勝てるぐらいだから。
それからコーネリアは回避したり、ミサイルを浴びせたりして貨物船が備えているバリアーをどんどん削っていき、ほっといても沈没させれそうな勢いで攻撃を重ねていく。
ただその途中にも都度コーネリアは攻撃をやめて通信をしている。なんかやたらと細かく指示が出ているらしい。データを取りたいっていうのはその為か…つまり、ワンパターンに攻撃を重ねるとそのパターンの動きだけしかデータが取れないから、色々なバリエーションをしてくれ、って要請が入ってるっぽい。しかし、実際に戦闘している本人にとってはウザイこと極まりないだろうな。もしやられたら死ぬ可能性だってあるのに。
しかも通信というよりも言い争いもしているっぽく、やたらと「ファーーック!」とか「ホーリィ!!シィーット!!」とか「シャーーーーーー!!!ラーーーーーップ!!」とうコーネリアの怒りの声が聞こえている。貨物船の攻撃を受けたからじゃなくて、受けるか受けないかの時に通信が入りまくっているからか。
その時、コーネリアに向かって貨物船から対空ミサイルが5発ぐらい飛んでくる。コーネリアはいつものようにミサイルで応戦しようと構えるが、何を思ったのかそのままミサイルを引き連れたまま低空飛行をしている。
「もしかして、弾切れ?」