43 ミッシング・ニューラルリンク 2

俺とナツコはケイスケの運転する小さな車で、後部座席にナツコ、助手席に俺が座って家まで送って行ってもらった。
いつもは安全運転のケイスケだが、その日は深夜にアニメがあるからと猛スピードで家に直行していった。それから「落ち着いてアニメを見ようと思っていたのにバカな妹とアホなキミカちゃんのせいでこんなに心臓をバクバクさせながら家に帰らないといけないにゃん!!!寿命がまた縮まるにぃぃ!!!」とか怒っていた。
家につけばついたでぐったりしている妹なんぞどうでもいいという感じで「にぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」と重戦車のような身体で家の中に突進してリビングのテレビをつけていた。
「ナツコ、家についたよ?」
ナツコはあれからぐったりしている。
眠いのかな?
そのまままるで幽霊の様に立ち上がってふらふらと車庫から家までの短い道のりを歩いていくと、そのまま階段をのそーっと上がって自室へと消えた。
ちなみに俺はというとシャワーを浴びてから棒アイスを冷蔵庫から引っ張り出すと真っ暗にしてテレビの明かりだけ付けてアニメを見ているケイスケの側に行き、寝っ転がって一緒にアニメを見た。
コマーシャルに突入したぐらいのころ、
「ねぇ、ケイスケ」
「なんですかぉ?」
「ナツコの様子が変じゃなかった?」
と聞いてみた。
「ん〜…幽霊みたいにのそーっと歩くとか青い顔してるとか、そういうのは普段のナツコですにぃ。全然変じゃないですぉ。というより、むしろ大人しいぐらいがちょうどいいですにぃ。後は気味の悪い趣味が無かったらもっといいかにゃん」
などと言ってて、まるでナツコの変化とかは気にしてない。
「いや、なんか元気が無いって言うか…」
「しッ!!」
ケイスケが人差し指を唇に押し当てて怒鳴るから、俺はてっきりテロリストに家でも囲まれたのかと周囲を警戒したが、どうやらコマーシャルが終わってアニメのBパートが始まったから俺に黙れって言いたかったらしい。
そのBパートも終わり「キター!!今期最高のED!!!」とEDの主題歌を口ずさみながらアニメを見終えて「さて寝るかにゃん」とか言って部屋に上がろうとしたので、
「だから!さっきの続きだけどさ」
「ふぁぁぁ…なんだか突然面倒臭くなってきたにゃん」
「おい…」
「なんですかお!あのクソ・チ◯カス・シスターがどうかしたのかにゃん!」
「いやキミの妹でしょ…もう少し大事にしなよ」
「『キミの妹』って凄い短すぎて失礼だにぃ!あれは親父様のチン◯の隅っこのチ◯カスにへばりついていたザー◯ンの残り汁がしぶとくもお母様の膣へと這い上がって受精したクソ妹だにゃん!!!また変な心霊スポットとかに言ってやれ浮浪者の死体を見つけてきただの、自殺者を見つけてきただの、心霊写真を取ってきただの言って浮かれてる浮かれポンチですぉ!今回はあまりにもインパクトがでか過ぎてビビったビビリ野郎ですぉ!!気にすることないですにぃ!!!」
「うわぁ…」
「これで少しは反省するだにゃん!まったく迷惑ばっかり掛けて」
まぁ、確かにそれは一理はある。
今までなんだかんだ言って妹が迷惑掛けたこともあるんだろうな。一応親が居ない時は兄が保護者役だし。
お、さすがは兄だ。
妹の為に何か作ってあげるのかな?
ケイスケは台所に行って急々と料理の支度をし始める。
「なんだかんだ言って、妹思いじゃん?」
と俺が茶化すと、
「違いますォ!!なんか腹が立ってきたら腹が減ってきたので夜食を作るんですぉ!自分の分ですにぃ!!キミカちゃんも食べますかォ?」
うわぁ…。