42 音無・春の余興祭り 1

ゴールデンウィークも終わる頃。
どこへ行っても人、人、人という状況に飽き飽きしたし、ケイスケもナツコも持病のパニック症候群が発病してしまうからという理由で人混みが多いところへは足を運ばないようにしてるらしく、俺はずーっと家で過ごしていた。
そして、メイから今から一緒にパーティをしませんか、という旨の連絡を受けて俺はイソイソを準備を始めた。ナツコも誘った時は外に行くのがそもそも嫌的な事を言っていたが、大晦日でメイと一緒にパーティをしたという面識もあるのからか、色々と言いながらもしぶしぶ付いてきた。
晦日の時とメンツが違うとすればにぃぁが居ないだけで、それ以外は全員同じメンバー。つまり、俺、ナツコ、ナノカ、ユウカ、メイの5名。
お寿司、オードブル、それからユウカが作ってきたタケノコの煮付け?らしきものをつまみながら、メイが俺の為にわざわざおフランスから取り寄せた果実酒などを飲んだ。
みんな軽く酔ってきたところで、
「余興ですわ!パーティと言えば余興ですわ!!」
とメイは目を輝かせて言う。
「余興…というと、普段はあまり会話もない上司と部下が酔に任せてホモ寸劇を楽しんで寸劇なのに本当に入れちゃうとかそういう余興?」などと俺がいってみると直ぐさま
「どこの中小企業の忘年会余興よ!」
とユウカに怒られた。
「この前やったじゃんけんで負けたほうが脱ぐ奴やろうよぉ〜」とかナノカが言い出すもユウカは直ぐさまダメと拒絶。
「え〜…そんなぁ」
レズビアンの3人だけでやってちょうだい」
「ナツコちゃんもあらたなる世界へと出発するかもよ?」
「もしそうなったら大変だからダメだって言ってるの!」
さっきから否定ばっかりだな。ユウカは何が余興としてしたいんだろ?
「ユウカは何したいの?」と俺は聞いてみる。
「な、なに、したいって…余興っていったらさ、ほら、女の子らしい事じゃないの。例えば好きな人を言うとか…」
「それは修学旅行とかで寝るときにする話だね…」
「い、いいじゃないのよ!!そういうアンタは何がしたいのよ?…あ、ごめん、今の無し。絶対に卑猥な事を言いそう。キミカのは却下ね」
卑猥な事を考える時間すら与えずに却下しやがったこのやろう…。
「卑猥な事をせずに余興をするなんて一体何が楽しいのですの?」とメイが言う。そうだそうだ!俺が思ってたことをストレートに言ってくれたぞ。ある意味ヤバい。
「あのねぇ…せめてもう少し一般人らしい事を余興としてよ。教育上よくない事は余興にならないんだからね」
一般人らしい事って言えばそりゃゲームしたりとかですよね。
「あ!そういえば…前に見た映画では友達同士で飲んだ後、心霊スポットを回っていたりしていましたわ」
女の子って心霊だとかオカルトが好きなふしがあるからなぁ。
「そ、それは…ん〜」とユウカが困り顔。
「いいじゃん!いこうよ!心霊スポット心霊スポット!!」
箸で皿をチンチンと叩きながらナノカが言う。
「まぁ、卑猥ではないけどね」
「このあたりで心霊スポットといえばどこかな?」
みんな知らないらしい。
シーンとした中で、ナツコが言う。
「いくつか知っていますわ。色々とあります」
それに対して、ナノカ・メイの2名は声を合わせて、
「「とびきり怖いところをお願いしまーっす!!」」
そしてナツコが推薦するとびきり怖い心霊スポットへと足を運ぶ事となった…。