41 妄想の証明 1

その日は朝からとある県にある工場まで足を運んでいた。
ミサカさんの案内である。
ミサカさんはミサトさんの双子の妹。ミサトさんは一応はルックスなどを意識してて素材もいいからか男にもモテそうな感じだけど、ミサカさんは双子というのは似ているという都市伝説を覆している存在であって、ミサトさんに比べると見た目をあまり気にしないタイプ、髪はボサボサでメガネは掛けてて服もヨレヨレ、本当に同じ素材なのかと疑いたくなるほどの人であった。と、とりあえずミサカさんの説明はこれ以上すると色々と面倒なので終了とする。
ヘリを飛ばして来たから事態は結構逼迫しているという事らしい。普通ならヘリではなく車で目的地に進むし。そして、ドロイドバスターキミカが呼ばれているという事は警察だけではどうこう出来ない問題という事らしい。ちなみにヘリの重量制限に引っかかってケイスケは同行できなかった。
ヘリの下に見えてきたのは田んぼ田んぼ田んぼ。田んぼの海。このあたりは今では珍しい自然農業が行われているらしい。データの中でしか存在しなかったはずの古い日本の風景が広がっていて、ヘリが向かう先にはその周囲の景色とは一変して箱型の建物がいくつか、そして野球場を思わせる周囲を塀で囲まれた円形の場所だ。
さっそく工場のヘリポートへと着陸してから、中でも事務所があると思われるビルへと案内される。入り口には「柏田(かしわだ)重工」のプレート。エレベーターに乗って廊下を進んで、その先、ミサカさんが案内したのは「所長室」というプレートがかけらている部屋だ。
そこへ入ると見るからに工場の所長らしき男…年齢は50過ぎぐらいかな。作業服に身を包んで頭はツルッパゲ。以下にも田舎の工場の所長って感じで、額に汗を浮かべてはそれをハンカチで吹いて凌いでいる。
そしてその横に居るのはこれまたツルッパゲじゃなくて…頭のてっぺんはハゲてるけど脇は白髪が残っている60は軽く過ぎている男。ちなみに白髪になる人はハゲないってジンクスがあるから俺が思うに目の前にいるハゲは所長のほうは実在ハゲで、脇に白髪が残っている男は非実在ハゲだ。
「紹介するわね、この方が柏田重工筑紫野工場所長、石川さん」
と所長のプレートが付いている豪華な机、そして椅子に座っている男を指して言うミサカさん。
「そしてこちらの方が公安8課の原牧(はらまき)さん」
ハラマキのほうはさっきから鋭い眼光でハゲ所長を睨みつけていたから、何かやらかしたこの工場所長のハゲが尋問されていたという事なのだろう。
「そちらの方は?」
ハラマキが言う。
「今回お手伝いをしてもらうキミカちゃんです」
「キミカ…巷で騒がれているドロイドバスター…という事かな?」
「ええ」
「ふむ…思ったより…子d…いや、女子高生っぽいな…」
「まぁ、まだ変身前ですから」
「変身?!…軍の開発した特殊義体だと思っていたのだが違うのか」
「すいません、私はあまり詳しくはわかりません。ハラマキさん、事件のほうの説明をそろそろされたほうがいいのではないですか?」
「ああ、そうだな、すまん」
公安?
どうやらこの人も警察の人らしい。
けど…公安って…諜報機関