39 勧誘せよ24時 4

校門の前にスク水で勧誘を初めてから小一時間が経過した。
春は風が強いので冷たい風が桜の花びらを空へとまき散らして、そして俺から体温を奪っていった。
「う〜、さむい」
俺はブラウスのボタンを締めたくてしょうがなかったがその手を止める。何故なら、それをやると魅力が半減してしまうのでと、常に俺の行動にナノカ達が目を光らせていたのだ。と、そこへ背中から肩に掛けて、温かいものが被さってきた。
男物のジャンバー。
「さ、寒いだろ、これ着とけよ」
「え?」
「前は閉めないほうがいいぞ。あいつらが見張ってるからさ。でもこれでも十分にセクシーに見えるだろう?」
顔を赤らめながら水口キャプテンが言う。
「キャプテン…」
「い、いや、だからそんな目で見るなって、ちょっ、おま」
そんな目ってどんな目で俺は水口を見てたっていうんだ、っておい、何を始めるんだよ。水口キャプテンはいつぞやに見せたよな前かがみの姿勢を初めて、両手は股間を隠すように前に。そしてさっきよりもさらに顔を真っ赤にしながら、「見るな、見るなって!」と手を俺の顔の前で振っている。これは面白い事になったぞ。
「どうしたの?まるで股間に亀さんがいるみたいな反応をして」
「どういう反応だよ!見るなって言ってるだろ!」
俺は水口キャプテンが俺の視線を避けるために俺の顔の前に手を付き出して妨害するが面白くて、ひょこひょこと隙を見て水口の勃起したアソコを睨みつけてやろうと頭を動かす。普通、これだけの激しい運動をすれば水口だって身体がへばって勃起も収まるはずなのに、全然さっきよりも元気になっている。どうやら俺のおっぱいの谷間が目の前ではじけまくってるからそれに亀さんが反応しているらしい。
「もう、先輩何やってるんだよ。股間に動物を飼わないでください」
「いねぇ!いねぇよ!どうしたらそういう発想になるんだよ!」
「先輩!亀さんがこの谷間に顔を突っ込みたいって言ってるよ!」
と俺は水着の上から自分のおっぱいを寄せて谷間を作って水口に見えるように派手にポーズを取ろうとすると、「てめぇ、やっぱりワザとやってやがったな!」と今頃気づきやがった。そして、俺が見ようとするのを阻止する為に俺の目に手の甲を当てて視界を閉ざさせた。俺は出来うる最高の抵抗として身体を反転させて逃げようとしたが、水口はその背後に回って後ろから俺を抱きしめるように片方の手を回して、片方の手で俺の目を覆った。
フルボッキしている水口のアソコが俺のお尻にぴったりと当たり、腕が俺の胸を「むにゅ」という効果音が出そうなぐらいに絞めつけてきて、おまけに暗闇にされたせいで全身の感覚が少しだけ鋭くなってしまった俺の身体は、女なら誰でも示す反応…つまり、感じてしまった。
「ちょ、ちょっと…せんぱい…手が乳首こすってるし、お尻にアレが当たってるんですけど…」
そこで初めて水口の手が俺の顔から離れる。
俺はそのまま後ろを振り向いて水口の顔を見上げる。
水口キャプテンと目があう。そして、キャプテンの鼻から血がぽたぽたと落ちて、
「うおおおおおおおおおおお!」
水口は鍛え上げた筋肉をフルに使って俺の目の前から消えていった。
いったいどれだけの人が水口の勃起を目撃したことだろうか…。
もう学園の7不思議として未来永劫語り継がれていくのではないかと、少しだけ不安になったけど、まぁ別に俺の事じゃないからいいやと0.5秒ぐらいでどうでもいい事になるのだった。