37 ◯◯がやってくる! 7

家族が久しぶりに楽しく会話をしているところ、周囲にハエが飛んでいるのに気づく俺。
さすがにウザくなってきた。
ここは一つ「和における妻」という奴をこのおっさんに知らしめておくべきだろうかな。和における妻とは、決して口では語らない、身体で語る女である。
俺はグラビティーブレードを取り出して(0.0001秒)ハエを切断した(0.0012秒)
「お父様、ハエが」
気づいたら周囲の黒服どもが俺に一斉に銃を向けている。
何?俺、何か悪いことした?
「静まれ、騒がしい」
お父様はドスの聞いた声で言い放つと、黒服どもは銃を懐へと納めた。
と同時に、俺はグラビティーブレードを納めた。
「キミカと言われたな。なかなかのおなごだ」
ケイスケとナツコは目を点にして俺が切断したハエ(テーブルの上に着地)を見ている。
「このハエ、羽が4つに切断され、足も6つに切断されて、さらに頭、胴体、腹に分けて切断。そしてそれぞれが真っ二つになっておる。しかも自らが斬られた事に気づいておらず、まだ動いておる。なかなかの刀捌きだ」などと俺を絶賛するお父様。
ちなみに目の部分を抉っておこうかと思ったけど、さすがにそれはグロぃのでやめておいた。
「ケイスケよ。いい女を見つけたな」
そこでようやくケイスケはハエから目を離して、
「そ、そうですぉ!キミカちゃんは最高の嫁ですぉ!!」
いやぁ、そんなに褒められると嬉しいですね。
「して、ケイスケ、ナツコよ。今日は時間はあるか?」
「は、はい!ありますぉ!」「も、もちろんですわ!」
「南軍の式典に参加する事になっておる、貴様らも同行できるか?」
「も、もちろんですぉ!」「よ、喜んで!」
ふぅ。やっとこの堅苦しい雰囲気から解放されるのか。
「あたしは家でゲームでもしておくよ〜。いってら!」って言おうと思って「あたしは家でゲ」のところでケイスケが俺の口を手で塞ぐ。なにすんだよ!
「家でゲ?」と、凄い剣幕で俺とケイスケを睨むお父上。
「い、家で芸の稽古をするという話ですぉ!で、でももちろん、式典に参加しますぉ!」
えー、まんどくせー。