37 ◯◯がやってくる! 4

「いーやーでーすー!」
俺はプイッとケイスケから顔をそらして言う。
「お願いしますぉ!お父様がいる間だけでいいから、フィアンセという設定でいてくださいですおおおおおおお!!!」
ケイスケはまたいつもの土下座をして、俺の足をぺろぺろと舐め始めた。俺は「うぇぇぇえ!!」と足を退けると今度は床のほうを舐め始めた。
「なんでにぃぁとかじゃないんだよ?あたしじゃなくてもいいじゃん」
「仮ににぃぁにその設定を話したとして、まともにお嫁さん役を演じることが出来ると思うのですかぉぉぉ!!!」
「まぁ、確かに。にぃぁは斬り殺されそうだね」
と話したくだりでナツコが、
「確かにキミカさんならお父様が刀で斬りかかっても刀をグラビティブレードで弾き飛ばして返り討ちにできますわね」
「返り討ってどうするんだよ」
「と、とにかく、少しの間でいいのですぉ…」
とケイスケは本気の涙を見せて俺の足をスリスリする。
「ったく、わかったよ…あーもう」
「ありがとうですおおおお!!!」
と、ケイスケは俺を抱きしめた後、おっぱいの谷間に顔を突っ込もうとしたので俺はすかさずグラビティーブレードを引っ張り出すとケイスケを腕ではじき飛ばした後、ケイスケの頬に突きつけて
「『お父様』に斬り殺される前にフィアンセに斬り殺されるっていう」
と言った。
「お、おお、オーケェオーケェ…ケームダーウン、ケームダーウン…」
「で?何をすればいいの?とりあえずこのキャミソールと太ももがモロ見えのハーフパンツは『破廉恥』なんだよね?」
「お父様は純和風の落ち着いた感じの女性が好きなんですにゃん」
「和服姿で…落ち着いた…髪の色も今のままじゃアレなの?」
日本人としては別段珍しくはないクリーム色の髪。しかし人によっては黒じゃなきゃダメという人もいるのだろう。
ケイスケは俺のクリーム色の髪を見ながら、「た、確かに…でもそこまでは拘ってはないはず。でも一応だから、ドロイドバスターに変身してから和服姿に着替えたらいいと思うにゃん」
「ふむふむ」
俺の頭の中には和服姿の落ち着いた感じの女性像が色々と浮かんでくる。ただ、時代劇に出てくる和服姿の女性ってどこか落ち着きがなくて、まぁそれが可愛らしくていいんだけど、町娘って感じなんだよな。ん〜…和服姿で落ち着いた女性かぁ…。
「和服はわたくしが準備しますわ。わたくしも着替えなければ…というより、お兄様、部屋の片付けは急いだほうがいいのではありませんの?」
ケイスケは「そうでしたぉ!」とかも言わずに、無言でまた重戦車の如く階段を駆け上がって行った。2階からミシミシと音が聞こえるのだからきっと色々とやってんだろう…。
さて、俺はその和服とやらに着替えなければならないか。