37 ◯◯がやってくる! 3

ケイスケの「大変な事を思い出して」の後、何故かケイスケは落ちついて…いや、本当はパニックになりそうな状態ではあるのだろうけど、落ち着かないと大変な事になるレベルなのだろうか、落ち着いたフリをして、ナツコと俺を1階のリビングのテーブルの前に座らせた。
「なに…大事な事を思い出したって?」
「お兄様…これ以上、現場を混乱させるような情報は欲しくありませんわ。お父様が家に帰ってくるというだけで十分お腹いっぱいですわ」
ケイスケは一息入れてから、
「実はキミカちゃんの扱いについてなのですぉ」
「はぁ…え?あぁ、そうか。あたしはこの家の部外者だったね」
そうそう、部外者の俺がここにいる理由をお父様に問われたらケイスケも困惑する。とりあえず家から離れておくとかしなきゃいけないかな?
「じ、じつは…ちょっと前にお父様に会って、言われたのです…」
「へぇ?」
「『お前はもうそろそろ結婚するような年齢ではないか?世間体というものもあるだろう。まさか、今だに彼女の一人も居ないのではあるまいな?』とお父様が言われ、調子に乗っていた僕チンは…『いるわけないですぉ〜お嫁さんは2次元の世界にいまs』と言い掛けたところでお父様は刀をチラリ。もちろん命あってのものですぉ。『います!結婚を前提に考えている女性がいますぉ!!!』と言ってしまったのですぉ」
「へぇ〜」
そりゃまた大きなホラを吹いたもんだねぇ。
「お、お兄様まさか…」
「き、キミカちゃんが僕のフィアンセという設定ですぉ…」
俺はあまりに突然の事だったので飲んでいたお茶を吹きこぼして、それをフキンで拭いた後、立ち上がって窓を開けて、涼しげに入る春の風を顔いっぱいに浴びながら「いい風だ」と満面の笑みで言った後、そのまま窓から逃げ出そうとしたところを、ケイスケとナツコに羽交い締めにされて止められた。