36 お泊り会 in Tokyo 7

夜景がとても綺麗だ。
ベランダをさらにぐーんと広くしたようなフロアには夜の冷たい風が注ぎこんできている。それからジャグジーをおしゃれに彩っている照明。湯船に浮かんでいるバラだか何かの香りのする花びらも、ライトアップされて幻想的な水(お湯)の芸術を演出してくれている。
…まぁ、女の子には好かれそうな芸術だけどね。男の俺のセンスだと、竹とかが並んでる日本庭園にゴツゴツとした岩が並んでて、その中に源泉かけ流しのお風呂があるっていうのがベストセンスなんだけどさ。
「わー!綺麗!これなんの花かなぁ?バラかな?」
などと言いながらユウカははしゃいでいる。
そして湯船に身体を落として、つぼみが付いている花をとって何とかして髪飾りのように髪につけようとしている。そんなのくっつけて一体誰に見せようとしてるんだか…彼氏かぁ?
俺は普段は大人っぽくてみんなを先導しているユウカの子供っぽいところに嘆息しながら、俺も湯船に浸かった。そしてまたさりげなくユウカの側に寄っていって肌をくっつけようとする。
「だからー!なんでこんなに広いのに私にくっつこうとするの?あ、レズだからか」
「うんうん、そうそう」
「いいから寄るな!」
ユウカは今度は俺の顔面を手で覆って顔を押し離そうとする。
「ちぃ…」
俺は諦め、浮かんでいるバラの花弁を集めてはそれを肩から胸から谷間から覆って遊ぶ。
「ねぇ…」
そう言って話を振ってきたのはユウカだった。
さっきまで花を弄っていたのに、その手を止めて、夜空のほうをずっと見ながら言う。
「キミカと一緒に居たときの事、話してよ」
「えぇ?」
俺はマスオさんばりにスッとボケた声を出してしまった。「えぇ〜?キミカ(男)は実はキミカ(女)と同一人物なのに、ありもしない二人の思い出話を幼なじみに語るのかぃぃ?それはなんてバツゲーム何だぃ??」って言いそうになった。
「えーっ…(5秒)…と…」
「な、なによ、その『貯め』は」
「ちょっと今思い出してるから」
「そんなに時間経ってないじゃん、もう忘れたの?」
まぁ実際には今考えてるんだけど。
「キミカはあたしのブラウスを脱がして『恥ずかしがる事はないよ、こんなに美しいのに。ほら、この花びらとか』と言い、あたしは『まって、シャワーを浴びてから』『だったら二人で一緒にあびようじゃないか』という事で、二人でシャワールームへ行って、キミカは私の身体にボディソープを塗りたくって『ほうら、こうすると気持ちいいだろう?』と言い、『君の身体が僕のタオルだ。ほら、ごしごしして僕の身体を洗ってごらん』と言うのであたしは仕方なく、全身を使って彼の身体を洗ってあげt」
「すとーっぷ!!すとぉぉぉぉぉぉおおおっぷ!!!」
「な、なぁに?」
「どこの官能小説から取ってきたストーリーよ」
「いや、事実だし」
「大体、キミカはそんなにおっさん臭くないわよ」
がーん…。