36 お泊り会 in Tokyo 1

ホテルに戻ってからはようやく落ち着けるようになった。一日中人混みの中に居たからなー。
ユウカ達も戻ってきた。
「おねえさま!さっきホコテンで凄い人に会ってしまいましたわ!」
「ふーん(多分キミカコスプレの人だろうな)」
「キミカのコスプレした人ですわ!」
「へぇ〜」
「そっくりですの!」
「本人だったんじゃないの?」
「絶対にそうだと思いますわ!」
などと話してるとすかさず、
「それはないわ」
と言うのはユウカだ。
「どうして?」
「だって、ドロイドバスターなら武器を持ってるはずだし、それに空を飛んだりするのよ。ホコテンで見たコスプレしてた人は武器なんて持ってないし、明らかに空なんて飛んでなかったし」
「おやおや…にわかですね」
と俺は茶化す。
「な、何よ!」
「ドロイドバスターは武器を格納できるんだよ。大体あの人混みで武器持って歩いてたら職質受けるからそんな事するわけないじゃん。それに飛んだら目立つだろうし、アキバならコスプレイヤーも沢山いるから混じっても誰も気づかないだろうと思って居たんだよ、きっと」
「む、むぅ…」
「それにドロイドバスターかそうじゃないかを区別するのは目を見たら判るんだよ?知ってた?」
「え、それは…そうなの?」
「ったくこれだから『Niwaker』は…」
「目を見たらって、目を見たわよ、私!」
「ドロイドバスターの目は漆黒に青が混じったような色でしょ」
「そ、そういえば…で、でも、やろうと思ったらコンタクトレンズをしたら誰でも目の色は変えれるじゃない!」
俺は「これだから素人は〜」という『お手上げ』のジェスチャーをしてから、
「ドロイドバスターの目は光るんだよ。普通の人の目は外からの光に反射して光る。ドロイドバスターの目は暗闇でも光るんだよ、だからちょっとコンタクトレンズとは違うかな」
「ぐ…なかなか詳しいじゃない…ファンクラブ等級1級になれそうな勢いね…」
「へっへーんッだ!」
そんな俺の名回答を横で見ていたナノカは、
「キミカっち、マジでドロイドバスターキミカじゃないの?そんなの間近で見なきゃわかんないような特徴を…」
「えええ!!そ、そんな事ないよ。まぁ似てるって言われるけど」
…ナノカは尖すぎるな。
下手にペラペラと話したのは失敗だったぜ。
「それにドロイドバスターって、変身後の姿だっていう話だし」
「そ、それはどこ情報?」
「ん〜。どこ情報っていうか、ヒーローってやっぱり変身するじゃん」
「あぁ、そうだね…」
危ない危ない。
変身シーンをファンの誰かに見られてそこから噂が広がっていたのかと思ったよ。