35 シークレット・ミッション 1

アキバについた俺達田舎モノ一行は、とりあえず田舎モノはふらふらとそこらを散策するのは迷子になる危険性をはらんでいる為、いったんはホテルの部屋に荷物などを置いて落ち着いた後、ホテル周辺を散策するという作戦を行う事となった。
つまり、どんなに方向音痴でもアキバにそびえ立つホテルの見える範囲でうろつけば迷子にはならないだろう、太陽の方向に向かって歩けば目的地につくように、ホテルがそびえ立つ方向に歩けば自分達の部屋に戻れるという寸法であります。
俺は一つのミッションを任されている。
アキバでケイスケが欲しがってたグッズを購入しなければならないのだ。
ちなみに何を買うのかは教えてもらえなかった。恥ずかしがって言おうとしないのだった…。それを買う俺は一体どれだけ恥ずかしいと思っているのだろう。つまり何を買うのかは買うまでわからないという、まるで運送屋になった気分だ。つまり、渡されたバーコードと商品コードが書かれてある紙切れを店員に渡せば商品と交換してくれるらしい。
「ちょっと…散歩してくる」
「おねえさま!」
ヌゥゥ…。やっぱり来たか。
「な、なに?」
「ご一緒しますわ」
「ダメだよ!」
「えーっ!!」
「私は一日に一回ほど一人の時間を作る事にしてるの。この世の喧騒から離れて自分を省みる為にね…」
「おねえさま…さすがですわ!」
そんな俺とメイのやりとりを見ていたユウカは、
「アキバと言えば同人誌…いやらしいレズの薄い本でも買いに行くんじゃないの?」
コイツ、なかなかいいカンしてやがる…。
あのケイスケの事だからまともなモノを購入してるとか考えづらい。ただ「グッズ」というからには同人誌ではないだろう。同人誌ならきっとネットで販売されてるから。
「もうそっとしておいて…」
「そうですわ!おねえさまがお一人の時間を作りたいとおっしゃっているのですから、『喧騒』であるユウカ先輩は変な詮索をせずにおねえさまとの距離を置くべk…いたたたた!」と、メイの台詞が終わる前にユウカはメイの頭にアイアン・クロウを食らわせていた。