34 通りすがりの… 2

閉じ込められてからしばらくしたらより事態が悪い方向へと流れていく事になった。強盗たちは今閉じ込められている事を把握したのか、ガムテープのようなものを手渡し遭いながら店員や客を一人一人縛り始めた。その時俺はその連中の一人が着ているジャンパーの裾から機械化された手を見た。
こいつ、アンドロイドか何か?
警察では手に負えないかもしれない。こいつらの落ち着き具合がさっきから怪しかったんだ。全員が機械化している訳でもないっぽい。二人ぐらいはアンドロイド、またはサイボーグのようだ。
「はぁ、2回目だよ…」
「え?なんですの?」
「最初はユウカと一緒に居たときに強盗にあって…」
「あぁ!聞きましたわ!ドロイドバスター様が助けに来てくださったのですわよね!」
「こらこら…声が大きいってば」
あぁ、余計な事をいうから…。
『ドロイドバスター』というのを聞いた店員や客がヒソヒソと話をし始める。みんな『ドロイドバスターキミカ』が助けに来るんじゃないかっていう話をしているのだ。正義の味方だろうがなんだろうが、活動地域は九州のほうなのに東京までひとっ飛びで来るなんてありえないって。どこのスーパーマンだよ。
そして案の定だが、『ドロイドバスター』なる単語に反応するのは店員や客だけではなかった。その強盗どもがそれに反応しないはずがない。強盗ではありえないような豪華な装備を整えたのは自分達の目的が達成されるのを確実にする為だ。それを台無しにしてきたのは中国地方や九州地方で正義の味方として大暴れしているドロイドバスターキミカなのだから、連中がそのキーワードに反応しないほうが無理というものだった。
強盗の一人が俺とメイのもとまで近寄ってきて日本語ではない何かの言葉…それは明らかに暴言のようなものを放ちながら、俺とメイの手首を縛る。
「ドロイドバスター様!どうかメイをお助けくださいまし…」
「メイ…刺激するような事を言わないで」
「だって…」
一方で俺はとりあえず軍の回線を使って通信を試みていた。
前に軍との専用緊急回線をつないで貰った。通信エリア外じゃない限りはこれが使えるはずだ。警察への通報は店員が既にやってるけど、こいつらがサイボーグ化しているなら話は別だ。スカーレットみたいな奴も居たからね。
「電波は通じるのか…」
「な、なんですの?」
「あ、いや何でもないよ」
ん〜。オペレーターの人がでないな。
『はい、こちら中央軍緊急回線です。認証コードをどうぞ』
あ、繋がった。
ん?
なんだかいつもと違うけどいっか。
俺は認証コードを話して、普段、俺が軍と連絡を取っている通信回線をオープンした。
『えっと、今ストアナムのジュエリーショップマキアートっていうところにいるんだけど、強盗が入ってきちゃって』
『強盗でしたら警察のほうに』
『あ、えっと、サイボーグ化しているのが何人かいるんだよね。これは軍の管轄になるんじゃないっけ…』
って前に聞いたことがあるのでそれをそのまま話す。
『了解しました。すぐに向かわせます』
あれぇ?なんかいつもと違うな?
ま、いっか。