33 田舎から来ました 5

「ったく、バカな後輩で悪かったわね」
「いえいえ…」
しばらく俺はそのまま待つ。
「え?何?早く脱ぎなさいよ」
「え?脱がしてくれるんじゃないの?」
「はぁ?なんで?!」
「メイは脱がしてくれたけど…」
「自分で脱げるでしょ!」
俺はしぶしぶ服を脱いで、後はユウカのサポートのもと、ユウカが選んだ服を着た。
「ん〜。いいじゃない。ほんと、あんたって何を着ても似合うわね」
鏡で自分の姿を見てみる。
「ん〜…何この…おばさんが着るようなシックな服は…」
「ちょっ…おばさんですってぇ???」
「だって色がなんか…」
「これだってハーフパンツとストッキングの部分がちゃんとインパクトがあるように考えられてるんだから」
インパクト?」
「男をそそる部分よ」
「うへぇ…」
地味だ。
確かにこれを着ていればどこにいても『周囲に溶け込める』。何かの大災害が起きて瓦礫の中に埋まったとしても周囲に溶けこんで発見が遅れ、人を死に至らしめるレベルの…。
「どうしてこんなに地味なの…」
「地味なのも必要なのよ!ってのを言いたいの。これから社会人になったらそうじゃないの。街に歩いている人達をみてご覧なさいよ。彼氏とデートをするなら別として…いやまぁ、彼氏の前でも年相応な格好をするものだけどさ。会社に行く時とか、破廉恥な格好をしてたら品性疑われるわよ」
まだ高校生のガキが既に30歳ぐらいの女の考えをしているよ〜…。
ユウカがカーテンを開けると、メイとナノカも俺のほうを見る。
「うわ…別人みたいだねキミカっち」
「ま!なんて大人な格好ですの…それはそれで魅力的ですわ、お姉さま」
「そうそう、大人の格好なのよ。大人の格好。わかった?キミカ」
「へいへい…」
結局、それをユウカが買ってくれるもんだと思ってたら俺がお金を出すらしい。
「これからどこいく〜?」
「そうね、行きたいお店ある?」
「あるよ!全然あるよ!」
ユウカとナノカが話している。
結局、バラバラになるのはちょっと怖いので、という事で二手に分かれることになった。俺は歩きまわるよりもゲーセンで遊んでいたいんだけどさ…。しかもメイが俺と一緒に居たいなどと言うもんだからメイと俺、ユウカとナノカというコンビで別れて散策する事になった。