33 田舎から来ました 4

「ほら、早く来なさいよ。服選んであげるって言ってるの」
さらに激しく手招きするユウカ。
「いらないってば。服なんて今持っているのだけで十分だよ。どうせ家に帰ったら下着だけで過ごすんだしさ。あーめんどくさ」
「何男の子みたいな事言ってるの、早くする!」
しぶしぶと俺は店内に進む。
「あんたが選ぶ服は全部、モロに男の好みなのよ」
何を言っているんだコイツは。
「女を見るのは男なんだから、男の好みに合わせて全然いいんじゃないの?」
「なんていうかさ、そういう感じで男に媚を売るような格好は女の子同士の中ではダメなのよ。あんたにはそういうのが判ってなさそうなんだよね。まぁ、実際に男の前で媚売ってるのを見たことあるわけじゃないけどさ」
「え、なに…『あたしより目立ってんじゃないわよ』思想?」
「違うわよ!」
ユウカは一つ二つと服を選んで俺に手渡して「これに着替えてみて」
手渡されたのは腰まである黒のワンピースドレスとハーフパンツ、ストッキング。なんだこの地味なのは。まるでユウカみたいなファッションセンスだな、あ、ユウカが選んだんだっけ。
「こんなの着ても誰も喜ばないじゃん…」
「よ…。喜ぶ喜ばないじゃないの!」
「お姉さまお召し替えが難しいのでしたら、わたしくしがサポートいたしますわ!」
俺の手を引いてメイが更衣室へと連れて行く。
二人で一人用の更衣室に入っているけど、俺もメイも身体が小さいので違和感がない。
「まったくお姉さまはそのまま服を着ずともまったく可愛いのに、ユウカ先輩は余計な事をしようとなさるのですか理解に苦しみますわ」
「いやぁ、全裸はまずいんじゃないかな…」
メイが俺のブラウスに手をかけてボタンを一つ一つ外していく。
「それにしてもお姉さま、これだけ素晴らしいセンスをお持ちなのに、意外とファッションの探求に無頓着だとは思いませんでしたわ。もしかしたらお姉さまは時代の一歩先を歩んでいらっしゃるの?お姉さまのファッションセンスは今のどの流行にもありませんもの…あぁ、一つ似たものがあるとすれば、アニメの中の…」
「ごほんごほん」
「あぁ、お姉さま、風邪ですの?」
「あー、大丈夫大丈夫」
「はぁぁぁ…お姉さまの服をこうやって脱がしていると、まるで二人でホテルに行ってこれからエッチをするカップルのような気分に…」
お前は脱がす側なのかよ!
メイは俺のブラウスを脱がす途中で手を止めてその手を俺の背中へと差し込んでいき、ぎゅっと抱きしめて顔をまた俺の胸の谷間へと押し当てる。
「はぁぁぁぁぁぁん!ほぉねぇぇぇさまぁぁ(お姉さま)」
「ちょ、ちょっとここではまずいんじゃないかなぁぁぁぁ?」
などと言っていたらカーテンがサーッと突然開いて(誰が開いたかもう目処はついてる)案の定そこにはユウカが鬼の形相に近い顔で居て「メイ!何やってんの!」とメイの髪をガシッと引っ掴むと外へと引っ張り出した。
「あたたたた!痛いですわ!髪が、髪が抜けてしまいますわ」
その後、
何故かメイの代わりにユウカが入ってきやがった…。