33 田舎から来ました 1

さて春休みに突入してみんながのんびりと学生生活の休息を堪能する中、俺はというと…中央首都「東京」へと向かう電車の中にいる。
窓側の席を俺、前をユウカ、その隣にナノカで、右隣がメイ。
この構成で東京へと向かうのだから何をするのかと言えば、東京観光である。ちなみにナツコは軍の関係者と話があるとかで家を離れがちになっていて、今日も居ない。
俺は春休みに入ってからというもの朝から深夜までゲームやらアニメを見ていて、それだけの不摂生な生活習慣を送っていれば普通の家庭なら親なりなんなりが出てきて「いい加減にしなさい!」などと言ってしぶしぶと家の手伝いでもさせられるものだけど、特殊な環境である今居候させていただいているケイスケの家では誰一人として俺のその行動を阻害する者はいない。というより、俺すらもドン引きしてしまうほどに不摂生な人が近くにいるのだ。まぁ、ケイスケとその妹のナツコの事だけど。
ケイスケは朝、昼、3時、夕方と、食事を摂る時間は起きてるが他は寝てる。一番活発に動くのは深夜で、ケイスケにその現象を説明させるのなら「自分の前世は夜行性の狼でメス犬どもをヒィヒィ言わせていた」と聞いてもいないのにそんな話をしていた。特に深夜の1時頃から4時ぐらいにかけては大音量で深夜アニメを見ている。まぁ、俺も一緒に見てる。
妹のナツコにしてみると寝るのは4時頃と兄貴と同じ。起きるのは夕方の17時頃。兄貴と違って食事は深夜に一回のみ。起きてから寝るまでの間はネット端末の前に居て、彼女の口から暇という言葉を聞いたことがないぐらいにひっきりなしに何かをしている。時々、寝ないで朝の4時頃にリュックやカメラなどを用意していそいそとどこかへ出かけている。あの装備からするとどう考えても女の子が買い物に行くようなものではなく、屈強な男が「ちょっと山篭りしてくる。食料は現地で調達する」といった風だ。
さて、俺はというと、ケイスケとほぼ同じ。昼頃に目が覚めて買い物に行くなどという理由に本屋、ビデオ屋、ゲームセンターを徘徊してから家に帰ってからケイスケの作る夕食を食べて、後はリビングでゴロゴロとしながらケイスケと一緒にアニメを見ている。
この家で規則正しく過ごしている人と言えばにぃぁぐらいなものだ。あぁ、にぃぁは人じゃないから正確にはこの家には規則正しく生活する人はいない。いや、規則正しく不摂生な生活をしている事になる。
そんな不摂生な生活から突然、東京へ旅行に行きましょうと言われて朝早くに起こされたら眠くなるのは当然。それは実は身体が特殊な素材でできている俺でも例外ではなかった。
窓側のエアコンから吹く涼しい風を浴びながらすーすーと寝息を立てていたと思う。
そんな俺の肩に何かの重しが乗っているのは、おそらくメイだろうと推測できる。メイは俺の肩に載せていた顔をゆっくりと首元に移動させたり、胸元に移動させたりして、最終的には俺のおっぱいの谷間に顔を挟んで「はぁぁぁぁぁぁぁああっん!!」などと言って顔を前後に揺らすところでユウカにげんこつを貰うという行為を繰り返していた。そのげんこつが俺の胸までダメージが届き、むせて咳をして、俺はユウカを睨み「な、なによ?」とユウカに言わせた後、また俺は寝るというループを繰り返していた。