32 あの日の青い空の下で 1

『キミカちゃん!』
瓦礫の中に俺の身体があった。
にぃぁはガードした後に俺の身体を尻尾で動けないように(足だけを)縛って強烈なパンチを腹と顔面に食らわしたのだ。
『いてて…』
『大丈夫?また高エネルギー反応が検知されたわ』
『女の子の顔を殴るとかマジ…』
『もうすぐ軍が到着するから!』
『ケイスケは何て言ってるの?』
ケイスケの作ったアンドロイドだからね…。
『妖怪だから封印しなきゃいけない、とか言って神社に向かったわ』
…。
『えっと…マダオはなんて言ってるの?』
使徒を倒せるのはエヴァだけとか言って倉庫の方に向かったけど…』
…。
『誰かまともな意見を言う人はいないの?』
『アレは妖怪じゃないの?』
『いや…アンドロイドだと思うよ』
『どうしてわかるの?』
実際、ケイスケが作ったっていうのは知ってるけど、これ話ちゃっていいのかな?
『えーっと…なんとなく』
『仮にアンドロイドだとして、一体誰があんな凶悪なものを…』
『世の中悪い奴もいるもんだね〜』
とりあえず言わないでおこう。
あら、また通信が。
『キミカちゃん!!』
この声はケイスケか。
『ケイスケ!大変な事になってるよ!』
『まさか妖狐が復活してしまうとは…』
『いや、ケイスケが作ったんでしょ?』
『誰が作ったとか関係ないですぉ!!今は平和を守る事が大切なんですぉぉおお!!』
『…』
『それにしても誰がにぃぁを爆走モードに』
『爆走モード?』
『にぃぁのお供え物を奪うと妖狐が呪縛から解かれてしまうんですぉ…』
『ああ、そういう仕様なのね』
『仕様?!違います!!違いますにぃぃ!!』
『それでどうやったら爆走モードを解除出来るの?さすがにもう暴れすぎてて軍と警察も介入してるし、やばいよ…』
『キミカちゃんですねぃ!!キミカちゃぁぁぁぁん!!!』
『な、なんだよ…』
『お供え物を盗ったのですにぃぃぃ!!』
『と、盗ってないよ。…食べただけ。すぐに元に戻したし』
『あぁぁ…なんという事を…』
『それで、どうやってモードを解除するの?』
『双子の巫女さんが封印術を行うと解除されますぉ』
『な、なんでそんなに難しいんだよ!なんだよ双子の巫女さんって!だいたい双子の巫女さんって時点で日本で一体どれだけいると思ってるんだよ!いないかもしれないのに!!』
『探せばいるんじゃないですかぉぉ〜(ほじほじ』
『こ、この…』
『まぁ、今来てる神社にいますにゃん。んで、キミカちゃんは九尾の相手をしていてくださいにゃん。その間に双子の巫女さんと一緒に現場にいって、術式を使えば封印できるにゃん』
『…はいはい』
まだ尻尾が9本出てない…つまり、こいつはまだまだ強いモードに移行する可能性を秘めている。その九尾を相手に、耐えるというのか。ぐぬぬ