31 キャットファイト 9

にぃぁのスピードは既に俺が見切れない程だった。
奴の攻撃は身体が前準備をするので、それだけでどこに攻撃を仕掛けてくるのか予測して防御している。そして俺の防御は完璧ではなく、間に合わないのだ。これ…マジでやばくね?
どんどん俺のプラズマシールドが削られていく。
寸前で防いだ奴の蹴り。だが衝撃波で俺の身体と地面のアスファルトごと持って行かれて吹っ飛ばされる。と、そこで容赦なく奴のレイルガンがまるでファランクス(戦艦などに搭載されている対空狙撃・弾幕用レイルガン)の如く狙い撃ちしてくる。
足を持って行かれた。
俺は瓦礫で防御壁をつくると、奴の弾の嵐の中で引きちぎられた足をグラビティコントロールで近づけて接合する。
完全に元通りだ。
足を引きちぎられるのはインパクトがある。けれども、後でこれだけ完璧に接合出来るのだから、ある意味、手足を引きちぎられる事そのものも何かしらの攻撃手段に使えそうだと考えてしまうほど。
それにしても奴は滅茶苦茶強くなってしまっている…。
ケイスケもあんなクレイジーな兵器を作ったんだから俺が出るまでもなく戦わす事が出来るんじゃないのかな?(ただし、あのにぃぁの人格には問題はありそうだけど)
『キミカちゃん!』
この通信はミサトさんか。
『はい?』
『緊急事態発生よ!』
『マジですか…いま修行中なんだけど』
『高エネルギー反応をキャッチして、今、軍と警察が現場に向かってる。尻尾が何本もある妖怪が街で暴れているらしいの』
『へぇ〜…そいつは大変だぁ…(白目』
やべぇ…マジやべぇ…。
『すぐに現場に向かえる?GPS情報を送るわ』
『あ、大丈夫、今現場だから』
『え?修行してたんじゃないの?』
『あーうん、そうそう。修行してたらソレらしき化物がいた、うん、いるいる。手強そう』
俺が瓦礫と廃車で作った壁が衝撃波で吹き飛びそうになる、その刹那、おそらくこの衝撃波の向こうにいるであろう奴に攻撃に合わせる為に、俺はグラビティコントロールとディフレクターを全開で瓦礫ごと蹴る。
瓦礫が吹き飛んだ先に奴の身体がある。
確実に俺の蹴りを尻尾と手で防御した奴の身体が。