31 キャットファイト 8

俺がプラズマライフルの望遠モードで狙いを定めている事に気づいたにぃぁは、俺のほうへと狙いを定めて身体を構える。奴の周囲の瓦礫が宙に浮いた。これは…来るぞ!
プラズマライフルをしまった。
奴が来るタイミングに合わせて蹴りを入れる。
ブロックされる。
この尻尾は本数が増えてくると厄介だな。防御、攻撃、…それらが可能な手足が増えていくようなものだ。ある意味、阿修羅を相手に戦っているのと同じだ。
そして、にぃぁは俺と同じく戦闘中は傷ついても回復が早い。切断しても接合させてしまうのだから通常の攻撃が効かないのだ。俺と同じタイプの敵がこれほど厄介とは思わなかったな。それはつまり、俺がにぃぁと同じ様に戦うのなら十分にスカーレットやイチなどにとって厄介になるという事だ。
俺は奴の連続する手や足、尻尾を使った攻撃のコンボをなるべく足を使いながら回避させる。手に比べるとグラビティディフレクターによる傾斜角を意識させるのが難しいな。時々、プラズマシールドを消費しているのが判る。こういうリスクを背負ってまで足だけで防御をするのは、
「秘技、グラビトロン砲!」
これを出す為だった。手をお腹の前の当たりで包むように構えてグラビトロン砲を準備していたのだ。
俺にシールドが削られるのを承知で防御無しで蹴りをにぃぁに入れる、そしてバランスを崩したにぃぁに至近距離でグラビトロン砲が着弾した。正確にはにぃぁは寸前で回避して、他の攻撃と同じ様に尻尾を使った防御をしたのだ。バカめ!
再び奴は目を見開くことになった。
防御に使った尻尾はグラビトロン砲に吸い込まれた。
これでどうでる?
尻尾は再生するのか?
尻尾は…再生しない。しなかった。切断された尻尾は切り口はそのまま、代わりに別の場所から別の動物の尻尾が生えてきた。
つまり…尻尾が増えるほど強くなるにぃぁは、さらに強くしなければ俺に勝てない、そう考えたという事だった。