29 如月流心眼道と金剛流居合術 3

ちょっと力を認めさせればいい。
ドロイドバスターに変身した後は超怪力だけども、変身前は普通の女の子レベルの力だ。これでパンチしたとしても対してインパクトはない。で、こういう時にどうするかというと、グラビティコントロールを使ってうまい具合にパンチ力を上げる。あくまでパンチされた側からすると殴られたようにしか見えない。実はその手には重力を力に変換した後のエネルギーが加わっている。
俺はなんら防御していないメタボ先輩のメタボ腹に向かってボディブローのようにパンチを入れる。
あれ?
俺はなんら防御していないメタボ先輩のメタボ腹にパンチを入れたつもりだったのに、身体の方向を変えられていた。変えられていたっていうのは、俺の身体の方向が全然別方向を向いていたという事だ。そして喉に向かって肘鉄を入れられそうなところで、メタボ先輩の攻撃はストップしていた。
「あ。クッ…」
すぐに先輩との距離を取る。
と、思ったら仕掛けてこられた。
だが俺の動体視力はドロイドバスター変身後ほどではないけど、飛んでくるとろい銃弾ぐらいなら(1発だけなら)見ることが出来る。神経を集中すれば。だから先輩の攻撃も神経を研ぎ澄ませるとスローモーションに見える。すかさず手でそれを払いのける。もちろん、相手は男の力だ。俺もグラビティコントロールを使って、防御をした時のダメージを軽減させる。
「ん?」
いま、先輩は「あれ?」って思ったはずだ。普通ならダメージが通るはずなのに、軽く手で受け止められ、払いのけられたからだ。
次は俺の攻撃のターンだぜ。
今まで数台のドロイドを沈めてきた超高速キックをメタボ腹にぶち込もうとする。さぁ、そこでブロックしてみてくれよ!一度当たれば強烈だぜ。そして、こんどこそ俺は、先輩の動きを見守った。この人がさっき俺の懐に入り込んだかのように見えたから。
先輩の動きを観察するに、普通なら蹴りを腕などでブロックするところを、蹴りに対して斜めから力を加えることで俺の蹴りが命中するのを避け、さらに俺の蹴りによるダメージがまったく関係ない別の方向へと飛んでいくように避けている。しかも、蹴りによる力を利用して、自分の身体を俺のほうへと移動させている。
まるでカウンターを狙ったような攻撃だ。
それでしたり顔をするような先輩をちょっと想像してしまった。ここで引き下がるわけにもいかない。俺の蹴りの力を利用して俺の方へ攻撃を仕掛けた、その先輩の攻撃を腕でブロックした。
「なるほど」
先輩は納得したようだ
俺から距離を離した。
「おぬし、なかなか武道の心得があるようでござるな。動きを見切るとは」
「教えるだけの価値はありそうですか?」
「いいでござるよ」
よし!
「ただ、ちょっと…今日はもう疲れたでござる。家に帰ってからみたいアニメもあるので、拙者はこれにて失礼いたす。明日から教えるということでよろしいかな?」
「よろしくお願いします」
え…アニメ?
まぁ突っ込まない突っ込まない…。