28 正義の意味は 1

南軍司令部に帰ってきた。
返ってくるなりケイスケのサバ折り…いや、愛のこもった抱き締めを食らい、反射神経で刀で首を切ろうとしてしまったりしたけど、俺の事を心配してくれる人がいるっていうのは嬉しいことだ。
「あれはなんなの?なんなんだよ?」
マダオを前にして俺はテーブルをパンパンと手でたたきながら言う。
「おそらくは…『不知火』と呼ばれている組織だろう」
「名前なんてどうでもいいよ!めちゃくちゃ強かったよ!忍術は使うし、刀は使うし…あとグラビティコントロールも使ってた」
マダオは怒り狂ってる子供をなだめるようにちょっと疲れたような話方で(ムカつく)俺の相手をする。
「『不知火』は大陸では最も名の知れたテロリストだ。戦闘ドロイドはもちろんだが、忍者のようなドロイドも所持していると言われている」
大陸っていうと中国だよね。中国なのに忍者?侍?なんだよ、嫌がらせか?まるで日本人がやってるかのように見えてしまうじゃん。
「へっ…侍だの忍者だの…パクればいいってものじゃ…」
「『不知火』は中国のテロリストではない」
「え?」
「日本のテロリストだ」
ミサトさんがホログラムの制御パネルをいくつかさわると、部屋の中央に男の顔の映像が現れた。数秒間だけの映像が繰り返し。男は建物から出ると車に乗り込んだ。という、短い映像だ。
「東条弘行。現時点の不知火のリーダーよ」
「日本のテロリストって…ん〜」
「君が今まで戦ってきたのは…つまりスカーレット一味は、左翼系のテロリストだ。だが実質、リーダーのスカーレット以外は中国人で構成されている。日本人の視点から見れば街で悪さをするスカーレット一味はテロリストだろう。中国産だがな。一方で不知火は右翼系テロリスト。日本人で構成されていて、拠点は中国だ」
拠点が中国…日本産のテロリスト…?なんでそんな事してるの?その疑問をそのままマダオにぶつける。
「なんでテロなんてしてるの?」
「うーむ…キミカ君…君は歴史の成績はランクいくらだね?」
「赤点」
「わかった。最初から説明しろという事だな」