27 日本海の死闘 4

「水遁!水包丁!」
な…なにぃぃ!!!
どこから聞こえたか、その声の後、雪の間を細い白い何かが、空へ飛び立った俺に向かって下から上へとまるでビームのように動いた。身体は交わせた。けれどもショックカノンはすっぱりと切れた。鉄の塊が切断されたのだ。けれどそれはビームでもなんでもない。ただの水。たぶん海水だ。高圧縮の海水を放っているのだ。
俺は慌ててショックカノンの割れたものを拾うために急降下、そして片割れを拾って武器リストに仕舞う。
風圧。
俺の目の前に、さっきの高圧縮の水を放ったであろう『そいつ』が現れた。
一言で言うのなら『忍者』。黒い装束に鬼のような面を被っている。手は普通の大人のそれよりも大きく、手の甲にぽっかりと穴が開いている。さっきの侍みたいな奴が生身の人間っぽい姿に対して、俺の目の前にいるそいつは人間ではなく、ロボットぽく見える。
「ふんッ!貴様がドロイドバスターキミカか!警察の犬が。のこのこ現れおって!!貴様の正義なんぞここでは戯言だ!!ここで腐ちろ!」
こいつはさっきの奴と違って話すのか。
「腐ちるのはあんたよ!」
言うが早く、俺はBFGを取り出すと奴がこの広範囲攻撃から逃げ切れないであろう位置へ向かって放った。BFGが直撃すれば即死だろうが、弾速がとろすぎて交わされる。だから少しでもダメージを与えることができる位置へと放ったのだ。
「グウゥゥ!!」
奴のプラズマシールドらしきものが削れているのが判る。これで俺と同じ条件だぜ。次の攻撃はグラビティブレードで縦、横、と切り裂いた。だが軽く交わされる。こいつは俺の動きを見てから避けているわけじゃない。俺が次にどんな攻撃を仕掛けるのか俺の『フォーム』で判断しているようだ。つまり、剣道の素人が段を持ってる玄人に挑むようなものだ。人間的なスペックが同じでも、経験の違いででる強さの違い。
「土遁!塗壁!」
よく見たら手で『印』を結んでから術を発動させている。術名を言った後、この忍者の手は黒く光った。
忍者の蹴りが俺の頬を掠める。次は右のフック。それを手で受け止める。クソッ、喧嘩の素人の俺はこいつに比べたら動きに無駄が多いのが目に取れてわかる。同じ様にバリアが切れてるのに、奴の攻撃のほうが俺にダメージを与えてるじゃないか!
回し蹴りが飛んできた。交わそうと身体をのぞけると背後の壁に頭を突っ込んだ。って、なんで壁があるんだよ!!
いや…こいつ…。
俺と同じ能力?
攻撃を交わしながら、ちらりと背後を見る。
氷が水面から飛び出てくる。そしてそれが壁になった。こいつ、俺と同じグラビティコントロールを使っている!!