26 蓮宝議員 4

「毎回こんな感じなの?」
とニュースを見ながら俺が質問する。
「そうですわね。蓮宝議員に限らず日本には他にも様々な左翼系の…リベラル系の議員はいますわ」
「左翼系…?そういえば前にもそんなキーワード聞いたことがあるような」
「まぁ、本来の意味での左翼…リベラルとは違いますわ、日本の場合は。本来、左翼も右翼もやり方・考え方が異なるだけで、最終的な目的は国の為ですわ。でも日本の場合は他の国の影響が強いせいで、左翼は日本人以外の為に動く人々、一方で右翼は日本人の為に動く人々、という風に分かれておりますの」
「どうして日本人なのに、日本人以外の為に動くの?」
「そのあたりは複雑ですわ。日本人の『愛国心』が病的なまでに無くなっているというのが基板でもありますし。仮にそれが原因だとして、愛国心が無ければ次には欲望の為に動くという心理が働き、そこで外国からお金が流れてきますと国の為よりもお金の為に動くようになるという…」
「あー。なんとなくわかる」
今までのスカーレット及び蓮宝議員を見ていれば判ることだね。銀行を襲ったり宝石店を襲ったり、募金を集めて一部を自分が使ったり、執着する点は自身の欲求に限られてるしね。
そんな話を俺とナツコがしているうちに、国会中継は中断されて、スタジオで評論家やキャスターやらの話に切り替わる。
「そういえば蓮宝議員といえば、今話題となっておりますスカーレット一味の首領、スカーレットも蓮宝そっくりの顔で話題ですよね〜」と司会が話題をふる。すると評論家の一人が「巷では蓮宝議員がスカーレットなんじゃないかって言われてしますしね」
おお!俺と同じ意見の人がいる!
「そうですねぇ…確かに蓮宝議員にそっくりだけど、まさかそんな事あるわけですよ〜」と司会。おい…。誰かさんと同じ様な事を言うね…。
「スカーレットと言えば…そうですね、そろそろこのコーナーですね」
え?このコーナー?
「『今週のキミカちゃん』のコーナーです!」
「おい!!」と俺は思わずテレビをガシッと掴んで破壊しそうになった。
「今週も様々な角度からキミカちゃんのパンチラ、胸チラを見てみましょう!」「いやぁ、世のおじさん達の唯一の楽しみですからねぇ」「女性の私もキミカちゃんならいいかな、って思っていますからね」などとクソみたいな話をニュースという貴重な情報提供が行われる時間にしやがる…。こいつらマジで殺したい気分だ。
「仕方がありませんわ」とナツコ。「キミカさんは英雄視されていますもの。日本には英雄が必要だとどこかの評論家が言っておりましたわ。わたくしもその意見には賛成。英雄は人々の心の現れ。キミカさんの行動が多くの人々に受け入れられるという事は、多くの人々はそれを望んでいるから。でも自分にはそんな力がないだからキミカさんを応援するのですわ」と続ける。
「応援…ねぇ…なんかパンチラ写真やパンチラ映像しか流れてない気がするけど…」
そこで司会が、
「さて今日も投稿者『にゃーん』さんから、超スクープ映像ですね。この人はまるでキミカちゃんと一緒に行動しているかのように、毎回ベストショットを届けてくれます!!お、にゃーんさんからコメント付きで映像が届いていますね」
にゃーんさんだとぉ?クソパパラッチ野郎が。今度俺の周囲にそんな気配があれば肉塊に変えてやる。あの戦闘の中じゃどうなっても自己責任だしさ。
「えー、読みますね『こん◯◯わ!今日のキミカちゃんのパンチラは、マン◯◯がパンツの上からでも見えてしまうほどに、お股を全開していますぉ〜!僕チンも今お股を全開にしてキミカちゃんを妄想の中で応援しているにぃ!くぱぁ!なんちゃってですにゃん!』…相変わらずキツイ表現ですねぇ…放送禁止用語が出ましたのでピーを入れさせていただきました(会場爆笑)」
おいおいおい!!!なんかどっかで聞いたことがある語尾だなおい!!
「てんめぇ…」
俺はゆらーっとケイスケの前に立つ。
「ち、違いますにゃん!ぼ、僕はこんな変な語尾じゃないですぉ…」
「言いたい事はそれで終わりかな…(ゴキゴキッと手を鳴らす)」
「ひぃぃぃぃぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」