26 蓮宝議員 2

ニュースが淡々と流している映像は国会中継だった。
カメラは一人の女性議員をとらえている。
ここで俺は真っ先にアレ?って思った。
「なんでここにスカーレットがいるの?!」
俺の突然の叫びにケイスケも料理の手を止めた。
「スカーレット?」とナツコ。
「テロリストだよ!いや…強盗団?とにかく、あたしと何度も戦ってる奴!」
「誰がですの?」
「いや、今のニュースでやってる、あ、ほら、いま映った。この女性議員」
「蓮宝議員?」
「蓮宝議員っていうのか…こいつ!テロリストの癖に日本の政治家だったの?!」
ケイスケが話に割り込む。
「キミカちゃんは何を突然言い出すのかと思えば…。そんな訳ないじゃないですかぉ…」
「いやいやいや!マジだって!あたし、かなり間近で見たんだから!敵の顔忘れるわけないじゃん!」
「政治家がいっぽうでテロリスト?『漫画じゃないんだから…』ですぉぉ」
え?なに?俺変な事言ってる?なんでナツコも「はぁ?なんですの?」って言いたげな顔で俺を見てるんだよ?
「戦闘シーンの映像を見たでしょ?敵の顔もばっちり映っていたよね?アレに対してマダオとかなんて言ってたの?」
「えーっと…『蓮宝議員にそっくりだけど、まさかそんな事あるわけないよな〜』って言ってましたぉ」
「おいおいおい!じゃあミサトさんは?」
「『蓮宝議員にそっくりね。だけど、そんな事わるわけないわよね〜。政治家が実はテロリストっていう展開が許されるのは幼稚園児が見るアニメまでですよね』」
「おいおい!!そこ疑おうよ!っていうか、幼稚園児がそんなアレな展開のアニメ見るの?…えっと、じゃあケイスケも見たんでしょ?その映像。評価は?」
「『フヒヒッ、年はアレだけど、いいおっぱいですにぃ』」
「おいッ!」
駄目だこいつら。
あぁ、まだ一人聞いてなかった。
「ナツコはどう思う?」
「蓮宝議員が強盗団の首領でテロリスト…というのは早計だとは思いますわ。ただ…」
「ただ?」
「蓮宝議員は左翼系の議員で中国と繋がりが強いですわ。まぁ、彼女が在日外国人の2世だからという理由もありますけど。そしてキミカさんが退治しているというスカーレットでしたっけ…。彼女を首領とするテロリストも中国系ですわ。確かに、無関係とは思えない要素が多くありますわね」
「でしょでしょ?」
「でも、これだけ顔がそっくりだと、逆にそのスカーレットという人が中国系テロリストだから、蓮宝議員が中国系左翼である事を理由に、顔を同じに変装していると考えるのではないかしら?犯罪者は顔を表に出しませんけれども、主義主張をアピールする為に自分が好きな人やキャラを真似て、自らのアバターを創りだすという話もありますわ」
確かに…そうだけど…。
ん〜…。