26 蓮宝議員 1

学校を終えて家に帰宅して、いつものようにテレビをつけてニュースなどを見る。暫くするとケイスケが帰宅。スーパーで色々と買ってきてて、夕食を今から作るらしい。
こういう普通の生活を送っていると俺が家族と一緒に暮らしてた頃の事が頭をよぎる。
あの頃と特に何も変わってないかな。学校から帰ってからまずテレビなどを見て、ご飯を食べてお風呂に入って、自室に入ってからネットサーフィンだとか漫画だとか、それから宿題などをやってみたりする。
登場人物が俺を含めて変わってしまっただけで、それ以外はあまり変わってないんだな。
「ねぇ、ケイスケ」
「なんですかぉ?」
「今日のご飯はなーに?」
「キミカちゃんの大好きなハンバーグですぉ」
「お〜」
こんな流れもずっと昔に俺は母親との会話にあった。…いや、ずっと昔じゃない。ちょっと昔。のはずなのに、ずっと昔だと思ってしまう。俺が一つの幸せだって思える一線を受け入れて、その瞬間に、過去の事が古い時代のひとつの「幸せ」だと思えたという事なのかな。つまり…俺はここで暮らしていく事で、親と暮らしていた思い出を、もう二度と送ることが出来ない日々、と思って悲しむ事をなくすことができたのかな。
ケイスケの妹のナツコも2階から降りてきた。
一緒にニュースを見る。
しかし、俺はその時に、まるで俺はパラレルワールドの一つに迷い込んだんじゃないかと錯覚してしまう出来事を体験したのだ…。