24 初詣と願い事 5

お風呂も終わってみんなで着替えて髪を乾かした後に初詣に行く。
ちょっと外を見てみると、さっきまで降り続いていた雪は止んで10センチぐらい積もっている。ここいらではこれだけ雪がふるのは珍しい。
初詣の神社はこの高校から歩いてすぐの場所。もともとこの高校が建てられているところは山、そして公園があって、地元では休日に人が遊びにくるような場所であった。俺は行ったことないけど。そこの近くに神社がある。別段何かが凄い神社というわけでもなく、学問がどうとか商売がどうとかの神様がいるわけでもない。
だからこんなに混雑しているはず…がないんだけどなぁ…。
初詣に訪れた人は公園の駐車場に車を止めてくる。でも車でわざわざ来るほどのものでもないはず。だってどこにでもあるような神社の一つでしょうに。駐車場に入る車をふと見てみると、他県のナンバーだ。南首都、中央首都とかのナンバーもちらほら。
「あらら…どうしてこうも人が…」とメイ。
境内へと続く石階段に並ぶ俺達。
周囲を見ると、どうも男性ばっかりの感じ。
すると、本殿があるほうから「おぉー!」という男性の声が聞こえる。初詣に来て宝くじにでも当たったのかな?
ゆっくりと列は進んでようやく本殿が見えるようになった。けれども、誰も本殿の賽銭箱にお賽銭を投げたり、手を叩いたり拝んだりなどの行為をしていない。大半の人はお守りやらおみくじを売っている巫女さんがいる建物のところに集まっている。
「あぁ!!キミカちゃんだぉ!!」
…この声は…。
「ケイスケ…ここで何やってんの?」
「ふひひッ!聖地巡礼だぉ」
「聖地?神社だから聖地?」
「違いますぉ。とあるアニメでこの神社が舞台の一つになっててここの巫女さんもアニメに出てて、」
「はいはい、もういいや」
「なんでそんなにスルースキル高いのですかぉ!今日限定のグッズももらえるのに!」
「そのグッズを貰うために並んでたの?」
「そうですぉ!!」
「うわぁ…」
それからケイスケは「にゃーん」とか言いながらグッズの一つであるビニールに包まれたそれを出した。アニメ絵が書かれてある布製の物体だ。「抱き枕かばぁあ」とドラ◯もんみたいな口調で言いやがる。
「あ、先生だ」
というナノカの声がすると、凄まじい速さで「抱き枕かばぁあ」をバッグに突っ込んで見えなくした。
「げげッ…僕のクラスのリア充達…」
「先生も初詣きたんだ」
「そ、そうですぉ。君達学生なんだからこんな時間にウロウロしちゃダメですぉ」
「今日は初詣限定でウロウロしてもいいんだよぉ?」
ぐぬぬ…」
ケイスケはリア充達にアニオタである事がバレないようにと心がけているのか、普段みないような凄い速さで石階段を駆け下りて行った。