23 キミカの中の人 3

「あ、まだ一人聞いてない人がいた」
と、突然ナノカが言う。
全員に聞くつもりかよ。ナツコの事だろう。っていうか、にぃぁは人としてカウントされてないのね、やっぱり。
みんなの視線がナツコに注がれて漫画本を読んでいたナツコもそれに気づいて顔を上げる。ナツコは俺の事を兄貴から聞いてるんだからそれをそのまま言っちゃダメなわけで…ごまかすのだろうかな?
「そうですわね…。キミカさんは改造人間ですわ。アニオタでロリコンでスケベで変態でデブのマッドサイエンティストに人体改造されたのですわ、きっと。そして研究所を抜けだして他の改造人間と戦っているのですわ」
仮◯ライダーかよ!言い方変えただけでかなり事実だし!
「仮面◯イダー?」
ぽつりとユウカが言う。
「なんでマッドサイエンティストの性癖まで判るの?」とナノカ。
「キミカさんの身体は子供としての魅力と大人としての魅力が交差する14歳ぐらいの年齢を想定して作られていますし、胸も男性が最も喜ぶと言われている美乳。しかも14歳の年齢は胸にはしこりがまだ残っていて本来なら固いはずなのに、戦闘中のキミカさんの胸は揺れていますわ。つまり、柔らかいという事。声だって、まるでアニメキャラのような萌え声。身長もどんなに日本男児の背が低くてもそれよりも低く設定してあって140センチぐらい。戦うだけなら不必要なあのエロカッコカワイイコスチュームも見た目を重視している事を示していますわ。もし仮に、アニメを見ていない普通の男がキミカを作ったとしたら普通の日本の女子高生をモチーフにして作るはずですわ。あれはアニメを意識しないと作れません」
なんという洞察力。いや、元が何か知っているからそこにこじつけているだけという説もありますが…。
「人体改造される前はなんだったの?」とナノカ。
「もし人を誘拐して人体改造したのならそれは犯罪。だからそもそも死ぬ予定だった人とかを連れてきたのではないでしょうか」
「な、なんですってーッ!」
と、思わず俺は叫んでしまった。
「なんであんたがそんなに驚くのよ」とユウカが突っ込む。
いや、驚くなというのが無理な話じゃないか。
表向きは俺が瀕死の状態を人体改造する事で救った、という確かに理由としてはアリだけど、考え方を変えればナツコが言っている事もある。普通に人体改造すれば犯罪。そんななかでモルモットとしてベストなのは死ぬ予定の人間だ。資料をちょちょいと手を加えれば死んだ事にできる。あいつはハッキングも得意だからね。俺がもし人体改造に失敗して死んだりしたら、同じ様に事故か病気で死んだことにすればいい。
「許さない…あのデブ…絶対に殺ス…(白目」
「なんであんたが突然怒り出すのよ」とユウカが突っ込む。
いや、怒るなというのが無理な話じゃないか。
「キミカさんがそんなに怒るところじゃありませんわ、わたくしの話の中ではあくまでお兄さm…じゃなかった、マッドサイエンティストは他にも沢山改造人間を作って、主人公と戦わせるのですから」
「いや、そこどうでもいいし…(白目」