23 キミカの中の人 2

「お姉様はドロイドバスターキミカの中の人はどんな人だと思います?」
え、それ、俺に聞くのかよ…。
えーっと…。うーん。
「キミカは変身後はあんな女の子の姿をしてるけど、変身前はカッコイイ男の子だと思うんだ」
というスタンスで進めていいだろうか。
「えぇぇ!それは斬新な考えですわね」
なんか俺の事を色々と知っているナツコがちらっと俺のほうを見た後また眼を逸らした。ぬぅぅ…なんだよ、何か言いたい事があるのかよぉぉぉ!
「どうして変身したら女の子になっちゃうの?」
とナノカが言う。
「そりゃぁ…やっぱり敵を油断させる為じゃないかな。可愛い女の子の姿をしてたら、傷つけたり、チャンスがあったときにトドメを刺しづらいじゃん」
「なるほどですわ。それじゃ、その中の人は普段は何をしているのですの?変身前の普段の生活とかは…」
「そりゃあれだよ…えーっと、お金持ちで超美形で、成績抜群、スポーツ万能、女の子にモテモテで毎晩ベッドの隣には違う女が…」ってところでユウカに頭をどつかれた。
「なーに言ってんのよ、キミカがそんな事するわけないじゃない」
「じゃあユウカっちはドロイドバスターキミカはどんな人だと思うの?」
さぁ、くるぞ、お花畑女子力たっぷりのキミカファンの妄想が。
「えーっとね。ドロイドバスターキミカはね…キミカが言うように本当は中身は男だと思うわ」
あら意外だ。
「へぇ〜ユウカっちもそう思うんだ。それでそれで?」
「キミカはね、多分、復讐の為に戦ってるんだと思う。大切な人を誰かに奪われたんだよ。例えば、友達とか恋人とか家族とか…」
こいつ、なんでそれが判るんだ?
「なんでそう思うんですの?」とメイが聞く。
「クールだからよ。もしヒーローだったら災害とかで人を助けたりするでしょ。でもキミカはテロリストが待ちに現れたときにしか出てこないじゃない。でも私が危険な目にあったときは助けてくれた。本当はいい人なんだけど、復讐に燃えてるからクールなの」
目を輝かせて言うユウカ。こんな奴は見たことないぜ…。まるで小学生がヒーロー戦隊モノに憧れているような、現実と夢との区別がつかないような目の色をしている。
「それにキミカは女の子にモテモテな人じゃないと思う。だってクールだもん。童貞、それに恋人居ない歴=年齢の人よ。そしてあまり女にがっつかないの。やっぱりクールだからね」
クールクールうるさいわい…。悪かったな童貞で、恋人いない歴=年齢で。好きでそうなってるんじゃねーよ!男装でもしない限り俺はこのまま恋人居ないまま死ぬかも知れないんだよ!悪かったな!
まだ続けるか、ユウカ。
「それからキミカには幼なじみの女の子がいてね、その子の事をずっと思っているの」
「いやいや、それはないから」
「なんでそこであんたが否定してくるのよ!」
思わず否定してしまった。
だってこいつ頭の中が超自己中心的なんだもの。
「幼なじみは小さい頃に別の学校に進んで、そこで男とヤりまくってます、っていうのがオチでしょ」
「そこ勝手なオチつけないで!そんな事ないわ、絶対」
「じゃぁ幼なじみは何してるって言うんだよ」
「キミカが彼自身の目的を終わらせた後に自分の元に戻ってきてくれる事を信じてるのよ。貞操を守ってね」
貞操(笑)を守って(笑)」
「そこ(笑)をつけないで」
「今時の日本の女で貞操を守るって人は珍しいよ」
すかさずメイが俺に、
「そ、そんな事ありませんわ!わたくし…キミカ様と結婚するその日まで貞操を守るつもりですわ」
こいつならやりかねん雰囲気…。
「そりゃ、一部の人は男と関係が色々とあるから、そういう人達が他の健全な女性の印象を悪いものに変えちゃうのはわかるけどさ、大体の人は結婚するまで貞操守るものなのよ。ん〜…守るっていうか、そういう出会いとかが少なくて結果的に守ったようになるというのかな」
ふーん。そういうもんなのかぁ。